The previous night of the world revolution6~T.D.~

あれが…今回のターゲットか。

見つけてしまえば、話は早い。

僕は潜んでいた雑木林を抜け、人里離れたその小屋に向かって、足音を立てずに近寄った。

気配を消して小屋の壁に背中をつけ、小さな窓から中を伺うと。

憐れな逃亡者達が、憐れにもこれからどうするかを話し合っていた。

「ど、同志ヒイラ…。こ、これから、どうしたら良いんでしょう…?」

震える部下の質問には答えず、党首は一人、毒づいていた。

「くそっ、くそっ…!あの裏切り者共め!裏切り者が、あの裏切り者さえいなければ…」

…。

…どうやら、酷く怒っているご様子。

昨日までは、当たり前のように持っていた確固たる地位を。

突如として失ったのが、余程ショックだったらしい。

気持ちは分かるが、同情はしない。

これから屠殺する豚に、どうして情をかける必要がある?

「せめて、『光の灯台』の開発資料を持ち出せていたら…!あれがないと…あれがなければ、組織の再建も出来ない…!」

組織の再建?

いずれにしても、それは君には不可能だから。

考えなくて良いことは、考えなくて良いんじゃないかな。

「ど、同志ヒイラ、諦めてはいけません。もう一度やり直しましょう。『光の灯台』がなくても、同志の強い愛国心があれば…」

と、部下の一人が励まそうとしたが。

「何馬鹿なこと言ってるんだ!」

党首、一喝。

「無理に決まってるだろ?俺は今、お前達も、指名手配犯なんだぞ!ここだって、いつ見つかるか…!金もない、人もない、頼みの綱の『光の灯台』までなくした。俺は、俺達はもう…」

…おしまいだ、と。

自覚してくれたなら、要らぬ手間も省けたのだろうが。

しかし、党首は自分で自分の破滅宣言をするのが、惜しかったようで。

と言うか、まだ生きる希望を残しておきたかったようで。

「…いや、まだ終わりじゃない。国内は駄目だ。国外へ行くんだ」

「国外…?ルティス帝国の外に逃亡するんですか?」

「逃亡じゃない!これは撤退だ。俺は逃げてるんじゃない。一度退いて、また態勢を整えるだけだ」

それを世間では、逃亡すると言う。

何とか戦略的撤退と言いたいのだろうが、残念ながら、それは無理な話だ。

大体、全部思いつきで言ってるんだろうし。

「国外と言っても…何処に?ルティス帝国に隣接する周辺国は、全てルティス帝国の同盟国です。見つかれば、即強制送還されてしまいます…」

良いことを言う部下がいるな。

その通り。ターゲット一味は四面楚歌だ。

「大丈夫だ。一つ、安全な国がある」

ほう。

それは、どの国のことを言ってるんだろう?