The previous night of the world revolution6~T.D.~

「…」

エリミア会長は、力を失ったように、へなへなと座り込んだ。

…これでおしまい。

自分の信じてきた『帝国の光』は瓦解。

それどころか、自分の起ち上げた『ルティス帝国を考える会』も、こんなにもあっさりと終わりを迎えてしまった。

…たった一人、異端者が密告したせいで。

申し訳ないとは思う。気の毒なことをしたと。

だけど、これが俺の信じる正義だから。

彼らに、希望を残してはいけないのだ。

少なくとも、彼らの信じる、狂信的なまでの共産主義思想を、この国に残しておいたら。

それはいつか、多くの罪のない人々を傷つけるかもしれない。

『帝国の光』がそうしたように。

だから、その芽は摘まなくてはならない。

帝国騎士団、四番隊隊長として。

「…あなた方のしたことは、間違っていると思います」

ルティス帝国の未来の為、を免罪符に、不法な手段で…あるいは半強制的に募金を募ったり。

会の方針に沿わない人間を迫害したり、そういうやり方は、確かに間違っていたと思うけれど。

でも。

「でも、ルティス帝国をより良くする為、ルティス帝国の未来を守りたいという…救いたいという…その気持ちは本物でした」

それだけは、認めざるを得ない。

その心意気だけは、高く買う。

「そして俺は、そのことが嬉しい。ルティス帝国の若者達が、祖国をより良いものにする為に集まり、考え、行動を起こす…その愛国心を持っていることが、俺は嬉しい。その愛国心があれば…この国は、まだまだ安泰だ」

愛国心を、別の方向に持っていかない限りは。

政治に興味なんてない、国なんてどうなっても構わない、と無関心を決め込む若者達も多いのに。

そんな中あなた達は、真剣に、本気で、ルティス帝国の未来を思って集まり、議論し、行動してくれた。

あなた達は、紛れもなく。

「ルティス帝国の宝です。あなた方のその力を、知識を、行動力を…祖国の為に活かしてくれること、心から期待しています」

祖国の未来を守ろうとしてくれている、若者達がいる。

祖国にもたらすべき正義が何か、考えてくれる人々がいる。

それだけで、俺はこの国の未来を、安心して託すことが出来る。

だから。

俺は安心して、『ルティス帝国を考える会』を…ルティス帝国総合大学を後にした。

自分の居るべき場所に、帰る為。

自分の居るべき場所で、己の正義を貫く為に。