The previous night of the world revolution6~T.D.~

それより重要なのは。

『ルティス帝国を考える会』会員達の、革命精神が弱まっているところだ。

元々『ルティス帝国を考える会』は、私立ローゼリア学園大学にあった『赤き星』のような、熱心な共産主義サークルではなかった。

年齢サバ読みおばさんが起こした、例の『天の光教』事件が発端となって、突発的に生まれたサークル。

若者達が、『天の光教』事件によって熱に浮かされ、その勢いのまま発足した、熱々の組織だった。

しかし、熱はいつまでも続かない。

時間がたつに連れて、人々の熱は、心は、冷めていく。

そして、気がつくのだ。

「あれ?俺今、何やってんだっけ?」と。

よくあるだろう?

熱中してるときは、もう右から左から何を言われても、全く気づかないけれど。

ふと後になって振り返ってみると、あのとき何で自分があんなに熱中していたのか、さっぱり分からない、っていうあの現象。

たまにあるよな。

昔のコレクションとか見てたら、そんな気分になる。

時に、それが黒歴史となることもある。

俺にとっても、昔…帝国騎士になる為に、ひたむきに努力していた頃のことを思い出すと。

あんな糞みたいな連中の集団に入る為に、何であんなに頑張ってたんだろう?って。

今では不思議だもんなぁ。

こんなことになるなら、最初っから立派なマフィアになる為に努力しているべきだった。

後悔先に立たずだが。

で、『ルティス帝国を考える会』にも、その現象が起きている。

ABC三兄弟が『考える会』から離れていったのも、そのせい。

エリミア会長は、そのことを非常に危惧している。

今『ルティス帝国を考える会』に残っているのは、元々根っからの共産主義者だった奴らだけだ。

あるいは、まだ完全に熱が冷めていない者。

まぁ、ルーシッドのような、何処にも属さない例外もいるが。

いずれにしても、数が激減しているのは間違いない。

元々『ルティス帝国を考える会』は、『赤き星』や『帝国の光』ほど、共産主義思考が強い集団ではなかったからな。

その名の通り、どうしたらルティス帝国がより良くなるか、について議論するサークルでしかなかった。

その議論が、『天の光教』の一件のせいで、共産主義思想に傾いていただけで。

もとから、コミュニズムを拗らせた連中の集まりって訳じゃなかった。

このまま放置しておけば、『ルティス帝国を考える会』は崩壊する。

エリミア会長は、また『帝国の光』という大きな組織から、直々に激励を得ることで、会員達の心を取り戻そうとしているようだが。

残念ながら、俺は取り次ぐつもりは全くない。

それに、今更『帝国の光』から激励を得たとしても、会員達の心が戻ってくることはないだろう。

会員達の熱は、冷めてしまったのだから。

その熱を再燃させるには、それなりの出来事がなければならない。

それこそ、『天の光教』事件のような。

しかし。

そんな事件が、ポンポンあってたまるか。

『天の光教』事件そのものだって、前代未聞の事態だったんだから。

それに今、そんな事件が起きないよう、帝国騎士団が目を光らせている。

そして、俺達『青薔薇連合会』も。

国防に興味はないが、商売する場所を奪われるのは困るからな。

故に。

「…あんたら、もう詰んでるんだよ」

『赤き星』と同様。

『ルティス帝国を考える会』もまた、ルティス帝国の共産主義の歴史に、ほんの少しの名前を馳せるだけ。

消えていく運命なんだよ、お前達は。