…さて。
自宅に帰った俺は、ルーシッドと共に、それぞれ持ち帰ってきた論文集を読み耽った。
そこには、『ルティス帝国を考える会』のメンバーの、思いの丈が記されていた。
これが、彼らの考える理想のルティス帝国、らしい。
へぇ。
…笑止。
「…だって。ボロクソ言われてますよあなた達」
「…そうみたいですね」
論文の中身は、小学生の作文並みの出来だった。
語彙力は、確かにルティス帝国総合大学の学生らしいが。
言ってることは、小学生並み。
「こいつら、馬鹿の一つ覚えですよ。王制廃止!貴族制度廃止!富を国民に分配しろ!不平等不平等!言ってることこれだけですもんね」
「ま、まぁ…。要約するとそうですね」
要約しなくてもそうだろうがよ。
こんな下らない文字の羅列を、論文と呼んで良いなんて、なんとまぁ甘いサークルであることか。
それでも…。
「これがあのサークルの『方針』で、おまけにこの考えに賛同する人間が、少なくともこれだけいるってことです」
「…はい」
何が、『ルティス帝国を考える会』だ。
これじゃあ、『ルティス帝国を共産主義にする会』じゃないか。
論文集に載っている論文は、全て共産主義的考えに基づいている。
その上で、女王や帝国騎士団になんか恨みでもあるのか?と思うほどに、
まぁ、徹底的に叩きまくっている。
…アホくさ。
「そういう趣旨の論文だけを、敢えてまとめているのか…」
「まぁその可能性はありますけど」
中には、王制賛成派の学生もいるのかもしれない。
しかし。
「あのエリミアとかいう、バストサイズが残念な会長の『方針』のもとに活動してたら、そういう学生はやりにくくて仕方ないでしょうよ」
「ばっ…バストサイズは関係ないんじゃ…」
「あいつ超残念ですよ。見栄張ってBカップのブラつけてましたが、あれはAですね。全く、年齢サバ読むおばさんもいれば、バストサイズに見栄を張る会長…。皆、もっと自分に素直に生きれば良いのに」
何人なりとも、相手が女であれば。
俺の目は誤魔化せない。
前にも言ったが、俺が女のスリーサイズを間違えるようなことがあったら、ご先祖様に申し訳ないからな。
「あなたは…自分に素直に生き過ぎなのでは…?」
ルーシッドが、何かをボソリと呟いた。
「…………は?今何か言いました?」
「あっ、いえ!とんでもないです!」
そう、それで良い。
この家にいる限り、俺を怒らせない方が身の為だぞ。
「で、話を戻すとして」
この、腐れ論文の話だったな。
「本当は王制賛成派のサークルメンバーもいるのか、それともそういうメンバーの論文はわざと載せないで、冊子にしているのか…でしたね。そもそもサークルは『ルティス帝国を考える会』なんですから、王制賛成派がいてもおかしくないのでは…」
甘い。
甘いねぇ、ルーシッド坊っちゃん。
「それはないでしょう」
「え…。何でですか?さっき、可能性はあるって…」
「そういう学生も、確かに一人二人はいたでしょう。でも今頃そんな学生は、あまりに居づらくて退会してるか、幽霊部員と化してるでしょうよ」
だって、『ルティス帝国を考える会』とか言いながら。
結局のところこのサークルは、『ルティス帝国を共産主義にする会』なのだから。
少なくとも、共産主義的考えのメンバーの方が圧倒的多数なのは、この論文集を見ているだけで分かる。
何より、あのエリミア(バストサイズ詐称)とかいう、生粋の王制反対派が、会長を務めている時点で。
もうお察しってもんだ。
そして、サークル紹介の為に、こんな共産主義論文集を配布する辺り。
「私達はこういう考えの集まりなので、そういうメンバーだけが入ってきてくださいよ」と、念を押しているようなもの。
「あなたは相当居づらいでしょうね、ふふ」
「う…。笑いながら言わないでくだない…」
そりゃ笑いたくもなるだろうよ。
このサークルに入ったが最後、俺とルーシッドは、正反対の待遇を受けることになるのだから。
自宅に帰った俺は、ルーシッドと共に、それぞれ持ち帰ってきた論文集を読み耽った。
そこには、『ルティス帝国を考える会』のメンバーの、思いの丈が記されていた。
これが、彼らの考える理想のルティス帝国、らしい。
へぇ。
…笑止。
「…だって。ボロクソ言われてますよあなた達」
「…そうみたいですね」
論文の中身は、小学生の作文並みの出来だった。
語彙力は、確かにルティス帝国総合大学の学生らしいが。
言ってることは、小学生並み。
「こいつら、馬鹿の一つ覚えですよ。王制廃止!貴族制度廃止!富を国民に分配しろ!不平等不平等!言ってることこれだけですもんね」
「ま、まぁ…。要約するとそうですね」
要約しなくてもそうだろうがよ。
こんな下らない文字の羅列を、論文と呼んで良いなんて、なんとまぁ甘いサークルであることか。
それでも…。
「これがあのサークルの『方針』で、おまけにこの考えに賛同する人間が、少なくともこれだけいるってことです」
「…はい」
何が、『ルティス帝国を考える会』だ。
これじゃあ、『ルティス帝国を共産主義にする会』じゃないか。
論文集に載っている論文は、全て共産主義的考えに基づいている。
その上で、女王や帝国騎士団になんか恨みでもあるのか?と思うほどに、
まぁ、徹底的に叩きまくっている。
…アホくさ。
「そういう趣旨の論文だけを、敢えてまとめているのか…」
「まぁその可能性はありますけど」
中には、王制賛成派の学生もいるのかもしれない。
しかし。
「あのエリミアとかいう、バストサイズが残念な会長の『方針』のもとに活動してたら、そういう学生はやりにくくて仕方ないでしょうよ」
「ばっ…バストサイズは関係ないんじゃ…」
「あいつ超残念ですよ。見栄張ってBカップのブラつけてましたが、あれはAですね。全く、年齢サバ読むおばさんもいれば、バストサイズに見栄を張る会長…。皆、もっと自分に素直に生きれば良いのに」
何人なりとも、相手が女であれば。
俺の目は誤魔化せない。
前にも言ったが、俺が女のスリーサイズを間違えるようなことがあったら、ご先祖様に申し訳ないからな。
「あなたは…自分に素直に生き過ぎなのでは…?」
ルーシッドが、何かをボソリと呟いた。
「…………は?今何か言いました?」
「あっ、いえ!とんでもないです!」
そう、それで良い。
この家にいる限り、俺を怒らせない方が身の為だぞ。
「で、話を戻すとして」
この、腐れ論文の話だったな。
「本当は王制賛成派のサークルメンバーもいるのか、それともそういうメンバーの論文はわざと載せないで、冊子にしているのか…でしたね。そもそもサークルは『ルティス帝国を考える会』なんですから、王制賛成派がいてもおかしくないのでは…」
甘い。
甘いねぇ、ルーシッド坊っちゃん。
「それはないでしょう」
「え…。何でですか?さっき、可能性はあるって…」
「そういう学生も、確かに一人二人はいたでしょう。でも今頃そんな学生は、あまりに居づらくて退会してるか、幽霊部員と化してるでしょうよ」
だって、『ルティス帝国を考える会』とか言いながら。
結局のところこのサークルは、『ルティス帝国を共産主義にする会』なのだから。
少なくとも、共産主義的考えのメンバーの方が圧倒的多数なのは、この論文集を見ているだけで分かる。
何より、あのエリミア(バストサイズ詐称)とかいう、生粋の王制反対派が、会長を務めている時点で。
もうお察しってもんだ。
そして、サークル紹介の為に、こんな共産主義論文集を配布する辺り。
「私達はこういう考えの集まりなので、そういうメンバーだけが入ってきてくださいよ」と、念を押しているようなもの。
「あなたは相当居づらいでしょうね、ふふ」
「う…。笑いながら言わないでくだない…」
そりゃ笑いたくもなるだろうよ。
このサークルに入ったが最後、俺とルーシッドは、正反対の待遇を受けることになるのだから。


