The previous night of the world revolution6~T.D.~

「我々は皆、出自や育ちは違えど、この場にいる限りは皆平等のはずです」

「…」

「確かに俺は、ルティス帝国総合大学の学生ですが、でもそれだけのことです。ここにいる他の同志達と、何の違いもありません。そうでしょう、同志ヒイラ?」

あんたが、散々人様に説いてきただろう?

俺達ルティス帝国民は、皆平等なのだと。

学歴で人を差別するなら、それはお前の主張を、お前自身が攻撃することになるぞ。

ブーメラン突き刺さってますが、そこのところどう思う?

理性を失うか?それとも…。

「…そう、だな。同志ルナニアの言う通りだ。悪かったよ」

ヒイラは、いつもの穏やかな笑顔を取り戻して、そう言った。

さっきまでの、苛ついた態度は何処へやら。

ヒイラが笑顔を見せたお陰で、開発チーム一同が、ホッと胸を撫で下ろすのが分かった。

明らかに責められてたもんな。まだ完成しないのか、って。

完成させてたまるか。

「そんなつもりじゃなかったんだ。謝るよ」

「いえ、分かって頂けたなら、それで結構です」

「それで、改めて説明してもらえるか?『光の灯台』に関する、君の見解を」

「はい」

それはそれ、これはこれってね。

「まず、新しいものを開発する過程の中で、一見、全く関係のなさそうなものが、実は大きく関わっていた、ということは、物作りの中でよくあります」

物作りの歴史を見てみると良い。

先人達は、限られた色んな物を利用して、様々な用途を満たす道具を作り出している。

火起こしを例にとってみれば良い。

ライターやマッチがなかったら、現代人は、どうやって火を起こそうかと考えると思う?

石を持ってきて…木を削って…とか、何となく使えそうなものをピックアップしてイメージするけれども。

そんな原始的な作業をしなくても、実は、ビニール袋と水と太陽光があれば、案外簡単に火はつく。

そういうものだ。

まぁ、火起こしは物作りとは違うかもしれないが。

考え方としては同じだ。

「ましてや『光の灯台』は、ルティス帝国にとって、未だかつてない大発明となり得るものです。様々なアプローチから研究を進めるのは、遠回りをしているようで、後になって振り返ってみると、実は近道を通っていた、ということになるかもしれません」

「…それで、このハーブ事典…っていうのが、近道に繋がってるのか?」

いえ、全く繋がっていません。

それはただの遠回りです。