The previous night of the world revolution6~T.D.~

…実に、「ご立派」な御高説が終わり。

俺達には、入部届が配られた。

先程の名演説を聞いて、『ルティス帝国を考える会』に入る気になったなら、これに署名して提出してくれ、とのこと。

最悪のタイミングで渡すよな。

後日でも良いですよ、とか言えよ。

今この場で決めろ、と言わんばかりだからな。

この場にいる新入生達は、こぞって入部届にサインしていた。

そりゃ、これだけ圧力かけられたら、そうなる。

ある種の洗脳に近いな。

ここで、「ばっかじゃないのお前ら?プークスクス」とか言って、会長の目の前で入部届を破り捨ててやったら。

そりゃあ面白いことになりそうで、ついうっかりやりそうになったが。

まぁ、俺はスパイ活動の一環として、このサークルに入らないのは有り得ないので。

所属学部と名前を書いて、その場で提出。

エリアスも、うきうきと署名していた。

チラリと見ると、ルーシッドも能面のような顔をして、それでもちゃんと署名していた。

内心穏やかじゃないだろうな。ルーシッドにしてみれば。

とにかく。

その日は入部届を提出し、ついでに、サークルメンバーが書いたという論文の冊子をもらい。

すっかり意気投合(した気になってる)エリアスと、また明日と笑顔で手を振り。

俺とルーシッドは、別々のルートで自宅…と言う名の潜伏先に戻った。