The previous night of the world revolution6~T.D.~

「どうされたんですか?同志ヒイラ。わざわざ…」

「いや、調子はどうかなと思ってさ」

成程。

ご自慢の玩具が、ちゃんと完成に近づいているか、自分の目で確かめずにはいられなかったらしい。

安心しろ。ちゃんと順調に進んでいる。

この調子で行けば、多分お前の来来来世くらいには、完成品第一号を見れると思うよ。

「どうだ?そろそろ出来そうか?」

「は…。皆一丸となって、精一杯研究に励んでいます」

開発チームの一人が答えた。

お前、さっき俺に音楽療法の本のまとめを押し付けてきた奴じゃん。

どの口で言ってんの?

誰が一丸だって?

「いつ頃出来そうだ?」

「い…いつ頃、ですか…」

…どうやら。

ヒイラとしては、今すぐにでも、『光の灯台』の完成を待ち望んでいるようだな。

そして、研究はもうほぼ完成に近づいていると思い込んでいる。

だが、事実この研究は、まだまだ初期の初期。

何せ、ハーブ事典を眺めることで、一日の時間を費やしているくらいだからな。

この認識の違いを、どうヒイラに説明したものかな。

完成は今日か明日か、と思っているヒイラに、何と説明…もとい、

釈明したら良いものかと、開発チームの面々達が黙り込んでしまったところを。

唯一、ヒイラに臆さず、対等に話が出来るルリシヤが声をあげた。

「同志ヒイラ。残念だが、『光の灯台』の完成には、まだ時間がかかりそうだ」

…よく言った、ルリシヤ。

さすが。

「…まだ?どれくらいだ?」

「そうだな…。どれくらいと言われても、まだ具体的な検討がつかないな。なぁ、同志サシャ博士」

「えっ、あ、あぁ…」

すかさず、ヒイラの不機嫌の矛先をサシャに向ける辺り、

ますます、さすがという言葉を送りたい。

その通り。この研究を持ちかけてきたのは、他ならぬこの自称博士なのだから。

お前が責任を持て。

「…まだ時間がかかるのか?」

「そ…そうですね。もう少し…」

と、言い淀むサシャ博士(笑)。

もう少しじゃねぇだろ。

まだまだたっぷりかかります、とはっきり言ってやれ。

「…」

だが、このヒイラの不機嫌そうな顔。

そりゃ、本当のことは言いにくいわな。

まさか、まだハーブ事典を読んでるところです、とは言えない。