The previous night of the world revolution6~T.D.~

だが。

会議の場では、積極的に意見を出さなければ、他のメンバー達からの信用度が下がる。

従って俺は、馬鹿な発言を延々と繰り返す。

「そうですね。それじゃまずは、その音楽療法に関する本を読んで、『光の灯台』に応用出来そうな箇所をリストアップしてみましょうか」

とんでもなく無駄な作業である。

だが、時間稼ぎには有効だ。

「分かりました。その作業は…同志ルナニア、あなたに頼めますか?」

おい。

音楽療法に関する本を借りてきたと言う女性党員が、俺にその本を手渡してきた。

お前が借りてきたのに、読んでレポート作成するのは、俺の仕事なのかよ。

まぁ、無理もない。

彼女は、ルリシヤが選んだなんちゃって精鋭開発チームの一員。

研究員に選ばられたにも関わらず、研究職なんて全く経験がない…どころか。

大した学歴を持つ訳でもなく、このような分厚い本は、読むだけでも精一杯なのだろう。

ましてや、その中から『光の灯台』に使えそうな文献を探し当てるのは、至難の業。

とてもじゃないけど自分には出来ない、と自覚してるんだろう。

だからこそ、本を借りてきただけで、それを読むことはしなかったのだろうし。

「なんかそれっぽい本見つけたから、持っていって読んでもらおう」とでも思ったんだろう。

浅はか。

自分で読め、自分で。

しかし。

「分かりました。任せてください」

仮にもルティス帝国総合大学の学生が、「そんな難しいこと出来ません」とは言えないので。

頼まれれば、引き受けざるを得ない。

実際、俺にとっては大した作業でもないしな。

それに、下手に他の奴の手に渡って、研究がおかしな方向に歪んでいったら困る。

あくまで、この研究の主導を握るのは、俺とルリシヤでなくてはならないのだから。

「頼めるか。済まないな、同志ルナニア」

その辺りの事情も熟知しているルリシヤが、俺にそう言った。

「いえいえ、お安い御用です」

「時間は、どれくらいかかりそうだ?」

おっ。

さすがルリシヤ、良い質問ですね。

時間稼ぎには最適の質問だ。

「そうですね…。一週間あれば、何とか出来ると思います」

嘘である。

こんなもの、一晩徹夜したら余裕。

しかし、敢えて時間を長めに申告しておくことで、少しでも時間を稼ごうという腹である。

とはいえ、一週間はちょっと長過ぎたか?

…と、思ったが。