The previous night of the world revolution6~T.D.~

「…は?」

喧嘩?

「お、弟は…バールレン家の次男だというのに、ろくに勉学に励みもせず、あちこちふらふらと放蕩するばかりで…。まるで貴族としての自覚がなくて、よ、よく言い争いになっていた」

「…」
 
…つまり。

貴族の自覚とやらがあるお前に反して、お前の弟は、道楽のどら息子だったと。

そのことに関して、よく言い争いをしていたと。

「近頃は、女遊びも酷くなって…。元奴隷の…使用人の女にまで手を出すようになって」

最低だな。

あ、でもルレイアも似たようなことやってるから。

ルレイアよりはマシか。

でもあいつは、見境なく手を出しはするが、一応女性側を必ず満足させているので。

そういう点では、女性としては、手を出されるならルレイアの方が良いのかもしれない。

ただし、一度ハーレムに加えられてしまったら、一生出られないことは覚悟しておいた方が良い。

それより。

「そのことでけ、喧嘩をしたんだ。いい加減、貴族としての自覚を持って、態度を改めるように…。そのときは、い、いつもの口喧嘩の比じゃないくらい、言い争いになった」

お前の弟は、態度を改めるどころか。

逆ギレして、兄に食って掛かったってことか。

本当に最低だな。

「け、結局…弟は、サシャは、不貞腐れて部屋に引きこもって…。わ、私も、呆れて…しばらく放っておこうと思った」

そんなに酷い兄弟喧嘩をした後なら、

お互い、頭を冷やす時間が必要だろうからな。

「そ、そうしたら…いつの間にか…弟が、い、いなくなってた」

「…いなくなってた?」

「ほ、本当にいなくなってたんだ。私に何も言わず…。侍従には、『数日で戻る』と託けて…」

「…つまり、家出したってことだな?」

「そ、そう思った。私も…。何日かすれば、戻ってくるだろうと…」

…。

「でも、戻ってこなかった。何日たっても…」

…それで、ルティス帝国に来たって言うのか?

「何で探さなかった?」

「こ、これまでも、そういうことはあったんだ。酷い喧嘩の後は。半年近く、国内の北の方にある別荘にこもって、本邸に戻らないこともあった」

成程。

元々、家出癖のある弟だった訳か。

それで今回も、いつもの不貞腐れ家出だと思って、弟が帰らなくなっても、特に探すことはなかった。

「そ、そんな折だった。サシャが家出して、一ヶ月ほどたったとき…。は、『白亜の塔』の開発資料が」

「あ?」

「資料の確認をしようと、書庫に入ったら…。『白亜の塔』の開発資料の一部が、なくなっていた…」

「…!」

…まさか。

ルティス帝国に持ち込まれた、『白亜の塔』の開発資料というのは…。