The previous night of the world revolution6~T.D.~

そうか。お前はサシャではないと。

「なら、サシャ・バールレンというのは誰だ?今ルティス帝国に潜り込んでいる、あの男は何者だ?お前の差し金なのか」

「る、ルティス帝国…!?あ、あいつは、る、ルティス帝国にいるのか!?」

…何?

「サシャ・バールレンというのは誰なんだ」

「お、弟だ。私の、弟の名前だ」

弟。

やはり、ルシードの言った通り。

テナイ・バールレンとサシャ・バールレンは、それぞれ違う人物。

更に、二人は兄弟であると。

兄のテナイが、目の前にいる、この怯えた腰抜け男。

そして、弟のサシャが…。

今ルティス帝国で、『光の灯台』なるものを造ろうとしている人物。

「お前の弟は、何でルティス帝国に来たんだ。何が目的だ?お前は、何処まで知っている?」

「…」

テナイは、ぶるぶると震えるばかりで、言葉を発しなくなった。

まるで、言いたくない何かを隠すように。

…そうか。

そんなに、指とお別れしたいなら。

「…5、4、3…」

「い、言う!言うからやめてくれ!」

「なら早く言え。いちいち止めるな」

「許してくれ!許してくれ!わ、私もこんなことになるとは、思ってなかったんだ!ま、まさかルティス帝国に行ったなんて!そんな…」

…苛ついてきた。

俺は、お前の懺悔を聞きたいんじゃない。

お前が、何について懺悔しているのか。そこを聞きたいんだよ。

これ以上、俺を苛立たせるようなら…。

「…手始めに、爪の一枚でも剥がしてみようか?」

俺は、突き上げたテナイ・バールレンの人差し指の爪に、指をかけた。

本物のマフィアの殺気と、自分の爪にかけられた俺の指を見て、テナイの恐怖は頂点に達した。

「…さっさと白状した方が、身の為だぞ」

「…け、喧嘩を、したんだ」

テナイは、恐怖のあまり硬直したまま、嗄れた声でそう言った。