The previous night of the world revolution6~T.D.~

俺は立ち上がって、テナイ・バールレンに拳銃を向けた。

テナイは、国内では見る影もない物騒な武器を前に、硬直して動けなくなっていた。

アシミムも、身体を固まらせるだけだ。

唯一動いたのは、ルシードだった。

「やめろ!この方はシェルドニア貴族の…」

「それがどうした。シェルドニアの事情なんか知ったことか。俺はルティス帝国のマフィアだ」

そして今、俺は身に余るほどの責務を帯びて、ここにいるのだ。

こいつが本当に、二つの名前を使い分けて、ルティス帝国に魔の手を伸ばしているのなら。

この場で処刑する。

一切の容赦は必要ない。

更に。

『…あー、あー、テステス。こちらアリューシャ』

インカムにノイズが走り、直後にアリューシャの声が聞こえた。

『おっさん、良いとこ住んでんねー。つーかふさふさじゃん。ハゲは何処だ?』

どうやら、上手くママチャリで合流し。

更に、狙撃ポイントを見つけたようだ。

さすが。

いつもの軽口が、こんなに頼もしく思えるとは。

『まーそんな感じで、いつでも撃てるんで。いざとなったら合図してくれ』

分かった。

これで、実質テナイ・バールレンに向けられた銃口は、二つになったな。

ルシードが俺を力ずくで止めたとしても、アリューシャが事を為し遂げてくれる。

「答えろ。サシャ・バールレンというのは誰だ?お前のことか?」

「な、ち、ちが…」

恐らく、銃口なんて向けられたのは初めてなのだろう。

それどころか、こんな「平和」なシェルドニア王国では、拳銃そのものすら、見る機会がなかったのかもしれない。

初めて他人から向けられた殺意に、テナイは怯え、身体を震わせていた。

だが。

どれだけ怖がろうと、知ったことじゃない。

それどころか、拳銃を怖がってくれて助かる。

怖がってくれなければ、脅しにはならないからな。

「お前が、ルティス帝国に『白亜の塔』の開発資料を持ち込んだのか?」

「!?る、ルティス帝国に…!?そ、そんな…」

「答えろ!」

「ひっ…」

俺が怒気を込めて怒鳴ると、テナイ・バールレンは、ぶるぶると震え、ソファから崩れ落ちた。