ルリシヤからの情報によると。
サシャ・バールレンは、『帝国の光』の本拠地であるビルの、秘密の地下室で。
そこに籠もって、『光の灯台』なる『白亜の塔』の亜種を研究をしている。
でも、目の前にいるアシミムは、つい先日、バールレン卿に会ったと言う。
…アシミムが嘘をついている?
いや、そんな風にはとても…。
それに、ここまで脅されているアシミムが、今更サシャ・バールレンを庇う必要はないはず。
なら、考えられるとしたら…。
…影武者、とか?
ルティス帝国にいるバールレンか、シェルドニア王国にいるバールレンの、どちらかが偽者。
俺は、自分の目で奴を見たことがないから、どんな容姿をしているのかは知らないが…。
…でも、そういえば。
ここに来る前、ルレイアが『帝国の光』に潜入し、無事『光の灯台』の開発チームに選ばれたことを、俺達に知らせてきたとき。
暗号文を使って、こんな風に報告してきた。
「無事、薄ら若ハゲチームに入りました」とか何とか。
あいつの毒舌はいつものことだが。
それで、「あぁ、その博士って奴、若ハゲなのか…」と思った。
そのときは、凄くどうでも良いことだと思ったことだが…。
もしかしてこれって、凄く大事な情報なのでは?
「まさかそんな、バールレン卿が…。信じられませんわ。あの方が、『白亜の塔』の秘密を外に漏らすだなんて…」
相変わらず、アシミムは狼狽していた。
お前が誰を信じようと、誰を疑おうと、そんなことはどうでも良い。
大事なのは、事実だけだ。
故に。
「…アシミム。一つ質問する」
…とても、気は進まないが。
「…何ですの?」
「そのバールレン卿っていうのは…若ハゲなのか?」
「…」
…アシミム、ぽかん。
馬鹿馬鹿しい質問だと思ったか?
俺も思ってる。
でも、大事な質問でもある。
『ぶふっ』
インカムから、アリューシャが噴き出す声が聞こえたが。
こっちは真面目なんだよ。お前も真面目に見張ってろ。
俺だって、好き好んでこんな低俗な質問をしてる訳じゃないんだよ。
だが、サシャ・バールレンを見たことがない俺にとって。
彼の特徴を表すには、ルレイアの毒舌に頼るしかないのだ。
他に特徴があるなら、そっちを聞いてるよ。
「そ、そう言われましても…」
「…こっちは真面目に聞いてるんだよ。真面目に答えろ」
「…べ、別段…禿頭(とくとう)という訳ではないように見えますわ」
「…気を遣ってんじゃないよな?」
「…えぇ…」
インカムから、アリューシャの低い笑い声がずっと聞こえてくる。
笑い事じゃねぇんだよ。
なら、影武者じゃないのか…。…いや、普段カツラ被ってる可能性もあるよな…。
…何で俺、こんな下らない考察してんの?
ルレイアもこの場にいたら、大爆笑だったろうな。
とにかく、特徴がハゲってだけじゃ、大した確定情報にはならない。
どうやって確かめたものか…。
サシャ・バールレンは、『帝国の光』の本拠地であるビルの、秘密の地下室で。
そこに籠もって、『光の灯台』なる『白亜の塔』の亜種を研究をしている。
でも、目の前にいるアシミムは、つい先日、バールレン卿に会ったと言う。
…アシミムが嘘をついている?
いや、そんな風にはとても…。
それに、ここまで脅されているアシミムが、今更サシャ・バールレンを庇う必要はないはず。
なら、考えられるとしたら…。
…影武者、とか?
ルティス帝国にいるバールレンか、シェルドニア王国にいるバールレンの、どちらかが偽者。
俺は、自分の目で奴を見たことがないから、どんな容姿をしているのかは知らないが…。
…でも、そういえば。
ここに来る前、ルレイアが『帝国の光』に潜入し、無事『光の灯台』の開発チームに選ばれたことを、俺達に知らせてきたとき。
暗号文を使って、こんな風に報告してきた。
「無事、薄ら若ハゲチームに入りました」とか何とか。
あいつの毒舌はいつものことだが。
それで、「あぁ、その博士って奴、若ハゲなのか…」と思った。
そのときは、凄くどうでも良いことだと思ったことだが…。
もしかしてこれって、凄く大事な情報なのでは?
「まさかそんな、バールレン卿が…。信じられませんわ。あの方が、『白亜の塔』の秘密を外に漏らすだなんて…」
相変わらず、アシミムは狼狽していた。
お前が誰を信じようと、誰を疑おうと、そんなことはどうでも良い。
大事なのは、事実だけだ。
故に。
「…アシミム。一つ質問する」
…とても、気は進まないが。
「…何ですの?」
「そのバールレン卿っていうのは…若ハゲなのか?」
「…」
…アシミム、ぽかん。
馬鹿馬鹿しい質問だと思ったか?
俺も思ってる。
でも、大事な質問でもある。
『ぶふっ』
インカムから、アリューシャが噴き出す声が聞こえたが。
こっちは真面目なんだよ。お前も真面目に見張ってろ。
俺だって、好き好んでこんな低俗な質問をしてる訳じゃないんだよ。
だが、サシャ・バールレンを見たことがない俺にとって。
彼の特徴を表すには、ルレイアの毒舌に頼るしかないのだ。
他に特徴があるなら、そっちを聞いてるよ。
「そ、そう言われましても…」
「…こっちは真面目に聞いてるんだよ。真面目に答えろ」
「…べ、別段…禿頭(とくとう)という訳ではないように見えますわ」
「…気を遣ってんじゃないよな?」
「…えぇ…」
インカムから、アリューシャの低い笑い声がずっと聞こえてくる。
笑い事じゃねぇんだよ。
なら、影武者じゃないのか…。…いや、普段カツラ被ってる可能性もあるよな…。
…何で俺、こんな下らない考察してんの?
ルレイアもこの場にいたら、大爆笑だったろうな。
とにかく、特徴がハゲってだけじゃ、大した確定情報にはならない。
どうやって確かめたものか…。


