The previous night of the world revolution6~T.D.~

実質、頭に銃口突きつけられた状態で。

アシミムは、静かにこう答えた。

「…いいえ。わたくしは、ルティス帝国に危害を加えるつもりなどありませんわ。ましてや支配など、とんでもないことですわ」

…そうか。

命拾いして良かったな。

だが、まだ尋問は終わっていない。

「なら、何故『白亜の塔』の開発資料がルティス帝国に流れてきてる?お前の差し金じゃないのか」

「全く身に覚えのないことですわ。何故『白亜の塔』に関する情報が…しかも開発資料が漏出したなど、にわかには信じ難い話ですもの」

「だが、実際に流れてきてるのは事実だ」

お前が、いくらしらばっくれようとも。

「知らぬ存ぜぬじゃ済まされないことくらい、分かってるよな?仮にも一国の国王なら」

私には身に覚えのないことだから、何も知りません、関係ありません、なんて。

通用すると思ったら、大きな間違いだ。

国の重要機密を、みすみす漏出させた時点で。

あんたにも、それ相応の責任はあるんだよ。

「えぇ、分かっていますわ。ですが…繰り返し申し上げますが、わたくしにはルティス帝国と事を構えるつもりは、毛頭ありませんわ」

「あんたの意志がどうであれ、起こっている事実が問題なんだ」

「そうですわね」

「あんたの差し金じゃないなら、他に『白亜の塔』に関する開発資料を漏出させる可能性のある人物は誰だ?思い当たる人間を言え」

アシミムが犯人じゃないなら、そいつらが容疑者だ。

すると。

「…可能性があるとすれば…『白亜の塔』による洗脳を免れている、一部の特権階級と…そこに仕える元奴隷達でしょうね」

…。

…お前の傍にいるルシードや、昔の華弦のような存在か。

貴族はともかく、その元奴隷達というのが怪しいな。

だが…。

ルリシヤからの情報によると、『白亜の塔』の情報をタレ込んだのは、元奴隷ではなく…。

「それも、『白亜の塔』に関する資料を保管している貴族は、シェルドニア王国でも限られていますわ。『白亜の塔』の真相を知っていても、その開発資料を手にすることが出来るのは、『白亜の塔』建設に関わっている、ごく一部の貴族だけですもの」

「…!」

…その情報は有益だ。

シェルドニア王国の、全ての貴族が容疑者という訳ではないのか。

『白亜の塔』の存在は知っていても、その「造り方」を知っている人物は、限られている。

ルティス帝国で言う、上流貴族みたいなもんか。

ルティス帝国にも貴族はいるが、彼らは下級、中流、上流の三階級に分かれている。

そして、シェルドニアで『白亜の塔』の開発資料を手にすることが出来るのは、僅かな上流貴族のみ…。

「…その貴族の中に、バールレンという名前はないか?」

「!」

アシミムは、驚いたように目を見開いた。

…それは、知っている顔だな。