…10分ほど、その場で待っていると。
ルシードの指示により、その場に集まっていたシェルドニア兵は、蜘蛛の子を散らしたように立ち去った。
そして。
シェルドニア警備兵と入れ替わるようにして。
豪奢なドレスを纏い、自慢の縦ロールを短く切って。
険しい顔をした女…シェルドニア王国女王、アシミム・ヘールシュミット…が、俺の前に現れた。
「…久し振りだな」
「…えぇ。あなたとは、随分久しいですわね」
お前が、俺達を騙し。
ルレイアを洗脳し、利用し、俺を殺させようとした、
あの時以来だな。
「…っ」
あの地獄のような、『ホワイト・ドリーム号』での記憶が蘇った。
あのときの、ルレイアの苦痛に満ちた顔。
悪夢にうなされ、助けて、と手を伸ばしたときの、ルレイアの姿を。
思い出しただけで、俺は目の前の女を殺したくて堪らない気持ちを、懸命に抑えなければならなかった。
「…俺は今、お前のことを殺したくて仕方ない」
俺は、正直にアシミムにそう言った。
引き金を引くことに、躊躇いはない。
もしお前が、少しでも悪意を持ってルティス帝国を攻撃したのであれば。
最早、俺はお前を生かしておく理由はない。
「精々、言葉は慎重に選ぶんだな」
「…分かっていますわ」
それなら結構。
「…ルシードから、話は聞きましたわ。どうやら我が国は、ルティス帝国から酷く疑われているようですわね」
「…つまり、否定するんだな?自分達はルティス帝国を攻撃するつもりはないと?」
「えぇ。そんなつもりは、毛頭ありませんわ」
アシミムがそう言うと。
俺は、左手をスッ、と上げた。
瞬間。
「っ!!」
一発の弾丸が、アシミムの耳元を掠めた。
アシミムの短い髪の毛が、パラパラと床に落ちた。
言わずもがな、アリューシャの狙撃だ。
ほんの僅か、一センチでも横にズレていれば。
今頃、アシミムの頭から、血飛沫が舞っていたことだろう。
「貴様…!何のつもりだ!?」
危うく主を殺されかけたルシードが、刀を抜いた。
勝手にやってろ。
「今のはわざと外したんだ。保険だよ」
アリューシャが本気で狙ったなら、外す訳がないだろうが。
今のは、威嚇射撃だ。
とはいえ、アリューシャの手元が僅かでも狂っていたら、アシミムはあの世行きだったかもな。
さすが、際どいところを狙えと言ったら、本当にめちゃくちゃ際どいところを、的確に狙いやがる。
こんなスナイパーに睨まれているのだから、迂闊なことは言えないだろうな。
ご愁傷様だ。
「保険だと…?」
「お前が、俺を騙そうと適当なことを言ったら、俺はすぐにお前達を敵とみなす。それを踏まえて話せ」
「…」
ルシードは、歯ぎしりせんばかりに俺を睨みつけた。
今の威嚇射撃で、充分に分かっただろう。
こちらは、今すぐにでもアシミムの命を奪えるんだよ。
何の為に、アリューシャを連れてきたと思ってる。
「もう一度聞いてやる、アシミム・ヘールシュミット。お前は、ルティス帝国に危害を加えるつもりか?」
「…」
アシミムは、耳元に飛んできた弾丸に臆しながらも。
一つ、深く深呼吸した。
ルシードの指示により、その場に集まっていたシェルドニア兵は、蜘蛛の子を散らしたように立ち去った。
そして。
シェルドニア警備兵と入れ替わるようにして。
豪奢なドレスを纏い、自慢の縦ロールを短く切って。
険しい顔をした女…シェルドニア王国女王、アシミム・ヘールシュミット…が、俺の前に現れた。
「…久し振りだな」
「…えぇ。あなたとは、随分久しいですわね」
お前が、俺達を騙し。
ルレイアを洗脳し、利用し、俺を殺させようとした、
あの時以来だな。
「…っ」
あの地獄のような、『ホワイト・ドリーム号』での記憶が蘇った。
あのときの、ルレイアの苦痛に満ちた顔。
悪夢にうなされ、助けて、と手を伸ばしたときの、ルレイアの姿を。
思い出しただけで、俺は目の前の女を殺したくて堪らない気持ちを、懸命に抑えなければならなかった。
「…俺は今、お前のことを殺したくて仕方ない」
俺は、正直にアシミムにそう言った。
引き金を引くことに、躊躇いはない。
もしお前が、少しでも悪意を持ってルティス帝国を攻撃したのであれば。
最早、俺はお前を生かしておく理由はない。
「精々、言葉は慎重に選ぶんだな」
「…分かっていますわ」
それなら結構。
「…ルシードから、話は聞きましたわ。どうやら我が国は、ルティス帝国から酷く疑われているようですわね」
「…つまり、否定するんだな?自分達はルティス帝国を攻撃するつもりはないと?」
「えぇ。そんなつもりは、毛頭ありませんわ」
アシミムがそう言うと。
俺は、左手をスッ、と上げた。
瞬間。
「っ!!」
一発の弾丸が、アシミムの耳元を掠めた。
アシミムの短い髪の毛が、パラパラと床に落ちた。
言わずもがな、アリューシャの狙撃だ。
ほんの僅か、一センチでも横にズレていれば。
今頃、アシミムの頭から、血飛沫が舞っていたことだろう。
「貴様…!何のつもりだ!?」
危うく主を殺されかけたルシードが、刀を抜いた。
勝手にやってろ。
「今のはわざと外したんだ。保険だよ」
アリューシャが本気で狙ったなら、外す訳がないだろうが。
今のは、威嚇射撃だ。
とはいえ、アリューシャの手元が僅かでも狂っていたら、アシミムはあの世行きだったかもな。
さすが、際どいところを狙えと言ったら、本当にめちゃくちゃ際どいところを、的確に狙いやがる。
こんなスナイパーに睨まれているのだから、迂闊なことは言えないだろうな。
ご愁傷様だ。
「保険だと…?」
「お前が、俺を騙そうと適当なことを言ったら、俺はすぐにお前達を敵とみなす。それを踏まえて話せ」
「…」
ルシードは、歯ぎしりせんばかりに俺を睨みつけた。
今の威嚇射撃で、充分に分かっただろう。
こちらは、今すぐにでもアシミムの命を奪えるんだよ。
何の為に、アリューシャを連れてきたと思ってる。
「もう一度聞いてやる、アシミム・ヘールシュミット。お前は、ルティス帝国に危害を加えるつもりか?」
「…」
アシミムは、耳元に飛んできた弾丸に臆しながらも。
一つ、深く深呼吸した。


