The previous night of the world revolution6~T.D.~

ひとまず。

これで、侵入は成功した。

「アリューシャ。狙撃ポイントを移動しろ」

『ルル公一人で大丈夫かよ?』

「時間稼ぎが出来れば良い。『真打ち』が出てくるまでに、一度移動して、態勢を立て直してくれ」

『りょ』

アリューシャが、狙撃ポイントの移動を開始した。

だから、俺がやるべきことは。

事の次第を聞きつけて、『真打ち』が出てくるまでの間。

ここで、王宮内の警備兵を足止めすることだ。

「…さて」

ルレイア並みの、ダイナミック入室を果たした俺は。

立ち止まり、両手に拳銃を持って、周囲を見渡した。

いかに、ガバガバな警備とは言えど。

さすがに、王宮内の守りは、最低限固めているようで。

騒ぎを聞きつけたらしい警備兵達が、俺の周りに集まり始めていた。

…しかし。

「…相変わらず、全く怖くないな」

一応、訓練された警備兵なのだろうが。

前述の通り、シェルドニア王国は、『白亜の塔』の影響のせいで、平和に慣れ過ぎている。

それ故に、イレギュラーな事態に弱い。

警備兵達は、一応拳銃や刃物を持ってはいるが。

顔には、ありありと動揺と狼狽が浮かんでいた。

「言われたから来てみたけど、どうしたら良いのか分からない」って顔だな。

簡単に言うと、全員へっぴり腰なのだ。

一通りの訓練は受けているのだろうが、訓練と実戦は、天と地ほどの差がある。

平和な訓練を受けたことはあっても、本当の実戦は経験したことがない彼らから、全くプレッシャーは感じなかった。

こいつらは兵隊と言うより、ただの一般人だ。

一般人に重火器を持たせても、扱えないのと同じ。

皆、武装しているのに、ちっとも敵意を感じない。

これなら、『青薔薇連合会』の末端構成員の方が、まだ士気が高いぞ。

国が平和だと、いざイレギュラーな事態が起きたとき、即座に対処する能力が失われる。

そのように仕向けられているのだから、彼らには何の罪もないが。