The previous night of the world revolution6~T.D.~

「大体な、この前ケーキ屋さんを潰そうとした、あの何とか教の人も、アホなことばっか言ってたけど」

『天の光教』のルチカ・ブランシェットな。

ルレイア曰く、年齢サバ読みおばさんらしいが。

あと、あの人は別に、ルティス帝国からケーキ屋を滅ぼそうとした訳じゃないからな。

ただ、アリューシャでも分かるように、アイズがそういう説明をしたっていうだけで。

「皆が平等に…なんて、自然の摂理に反してるね。世の中弱肉強食だよ。アリューシャの人生経験からしたら。弱いもんは食われるし、強いもんは食うだけだ。当たり前だろ。そこに罪悪感を覚えるのがおかしい」

「…シンプルだな」

野生の動物を考えて見れば良い。

彼らは実にシンプルだ。

食物連鎖のピラミッドに従って、下のものは上のものに食われ、上のものは更に上のものに食われる。

人間だって動物なんだから、弱肉強食の原理に当てはめるのは当然。

そこに文句をつけるのはおかしい。

シマウマはライオンに狩られるが、ライオンはそのことに罪悪感を抱いたりしないし。

シマウマはライオンに、文句を言ったりはしない。

…いや、人間に聞こえないだけで、もしかしたらシマウマも、必死の抗議をしているのかもしれないが。

それは置いといて。

人間だけ特別な動物、って訳じゃないんだから。

自然の摂理に従う。弱いものは強いものに淘汰されて当然、と思うのは、当たり前なのかもしれない。

それこそ、究極の弱肉強食の世界で生きてきた、アリューシャにとっては。

誰もが救われるなんて有り得ない。誰もが平等な世の中なんて、自然の摂理に反している。

「弱いもんが食われるのは、弱いもんが悪い訳じゃないし。強いもんが悪い訳でもないし。強いも弱いもお天道様が決めることで、別に誰かが悪い訳じゃないのに、何であの人達は、それが分かんないんだろうね?アリューシャにゃ、さっぱり理解出来んわ」

…お前のその説法、ルチカやヒイラに聞かせてやりたいよ。

「…誰もがお前みたいに、肝を据えて生きてる訳じゃないからな」

「ほぇ?」

アリューシャは、幼少期の体験から、「弱いものが強いものに食われるのは当たり前」だと理解している。

だから今、アリューシャより強いものに押し潰されたとしても、お前は文句を言わないし、それは自然の摂理だと受け入れるのだろう。

だが、世の中には、そんなに割り切って考えることが出来る人は少ない。

誰だって、生存競争に蹴落とされたくはないからな。