The previous night of the world revolution6~T.D.~

「エリアスは…何で『ルティス帝国を考える会』に?」

彼が、俺と同じサークルに入ろうとしていることが分かり、内心ほくそ笑んでいたが。

それを隠しながら、更に探りを入れる。

「あー…何て言うか、まず前提として、うちの親、二人共中学校の教師やってるんだよ」

成程。

それでお前も、教師目指して子ども教育学部に入学した訳ね。

「それが、二人共社会科の教師なんだけど」

職場結婚だったんだろうか。

まぁ、そんなことはどうでも良い。

自分の愛する人との馴れ初めは、素晴らしくロマンティックな恋愛小説になり得るが。

他人の馴れ初めなど、路傍の空き缶ほどもどうでも良い。

「二人共保守的な考えの人でさ、今の…現代ルティス帝国があるのは、ベルガモット王家のお陰だー、とか、帝国騎士団が治安を守ってくれてるお陰だー、とか、そういうこと平気で言う人達なんだよな」

え?それド正論では?

と、思わずツッコまなかった自分を褒めたい。

危ないところだった。

「それに…ルナニアも覚えてるだろ?この間世間を騒がせた…『天の光教』事件」

「あぁ…。勿論覚えてますよ」

覚えてるどころか、事件の渦中にいましたよ。

「あの教祖のおばさんは、正直胡散臭いなーと思ってたけど…」

分かる分かる。

あいつ年齢サバ読んでたんだよ。五歳くらい。

もうその時点で胡散臭いですよねー。

と、言いたいけど我慢我慢。

俺は一般人一般人。自分にそう言い聞かせる。

「宗教のことはよく分からないけど、あの人達の政治論って言うのかな…。それは共感出来るところがあるなーって思って」

「…と、言うと?」

「例えば、王制と貴族制度への批判。あれは正しいんじゃないかって」

…成程。

「エリアスは、王侯貴族制度反対派ですか」

「だって、普通に考えたらおかしくね?何の努力もしてないのに、その家に生まれたってだけで、富とか地位とか保証されるって」

「…」

「俺達みたいな一般人は、そんな特権持ってないから、一生懸命勉強して頑張って、手に職持って稼いで…ってことを当たり前にやってるのに、王族や貴族は、生まれたときから何もしなくても、人並み以上の生活を保証されてるんだろ?同じ人間なのに」

「…」

「それって、凄く不平等なんじゃないかと思うんだ」

…。

…ルルシーが。

今、この場にいたならば。

きっと、エリアスの襟首を掴んで、壁に押し付けて凄んでいただろうな、と思った。