入国審査を滞りなく終わらせ。
ルティス帝国から持ってきた、荷物を受け取り。
空港を出るなり、「それ」は俺達の前に待ち構えていた。
ようこそ、と言わんばかりに。
思わず、アリューシャが口を開いた。
「ほげ…。あれがあれかよ。あの噂のあれ…。良い面構えしてやがるぜ、あのー…あれ」
「…『白亜の塔』な」
名前が出てこなかったんだな。言いたいことは分かるが。
思い出せないことを、全部「あれ」で済ませようとするな。
お年寄りじゃないんだから。
「そう、それだそれ。喉元まで出てきてたんだけどな」
「嘘つけ、全然覚えてなかっただろ。…それは良いから、サングラスかけろ」
「おうよ」
ルリシヤが考案した、変装用のマスクを被ってはいるものの。
今この段階で、俺達の顔がバレるのは不味い。
俺達はサングラスをかけて、空港を出て歩き出した。
「ヤベーな。アリューシャヤバくね?もう洗脳された?洗脳されてる?アリューシャ洗脳されてるんじゃね?」
戦々恐々としているアリューシャ。
シェルドニアの実態を知る俺達にとっては、気になるところだが。
「心配するな。数日滞在するくらいなら、洗脳の影響は受けない」
あれは、年単位でシェルドニア王国に住み続けた者だけがかかる。
じわじわと、侵食されていくように。
「それより、あまりきょろきょろするな。怪しまれるぞ」
「お、おう…。分かっちゃいるけど、本当にあれだな。あちこち、真っ白だな」
真っ当な感想だ。
異国人なら、誰でも思うだろう。
この国は、何もかもが真っ白だ。
コンクリ舗装された道路まで、ご丁寧に真っ白に塗られている。
家も店も、建物の全てが白い。
道行くシェルドニア人の服装も、頭の飾りから靴まで真っ白。
唯一白くないものと言えば、シェルドニア王国を覆う、青い空くらいのものだ。
とはいえ、今はもう夕暮れの時間なので、赤くなってきているが。
「成程なぁ…。こりゃ、ルレ公にはキツい国だな」
そうだろうな。
あいつはむしろ、周りの全てが黒いことで落ち着くタイプだからな。
だからって、他人と、しかも帝国騎士団の人間と同居するのに。
無断で勝手に、部屋の内装を真っ黒にするのは、どうかと思う。
ルーシッドは、もう少し抗議しても良かったと思うぞ。
まぁ、抗議したところで、聞く耳を持つルレイアではないが。
「何気に、アリューシャにもキツいぜ。アリューシャ、元ゴキブリだからさ。こんな真っ白なところにいたら、一瞬で見つかるじゃん」
「…何を言ってるんだ、お前は…」
誰がゴキブリだって?
「で、ルル公。アリューシャ達、これからどうすんの?」
「あのな…。機内で散々説明したろ?今日はもう動かない。近場に予約したホテルで、まずは一泊する。動くのは明日からだ」
「りょ!助かる〜!飛行機の中で、全然寝られなかったからさ〜!時差ボケで超眠いんだよね〜」
「…」
…お前、機内でめちゃくちゃ寝てなかった?
多分、いつもの日課の昼寝をしていないから、アリューシャの中では「全然寝られなかった」判定になっているのだろうが。
お前の一日の睡眠時間、どうなってんだよ。
ルティス帝国から持ってきた、荷物を受け取り。
空港を出るなり、「それ」は俺達の前に待ち構えていた。
ようこそ、と言わんばかりに。
思わず、アリューシャが口を開いた。
「ほげ…。あれがあれかよ。あの噂のあれ…。良い面構えしてやがるぜ、あのー…あれ」
「…『白亜の塔』な」
名前が出てこなかったんだな。言いたいことは分かるが。
思い出せないことを、全部「あれ」で済ませようとするな。
お年寄りじゃないんだから。
「そう、それだそれ。喉元まで出てきてたんだけどな」
「嘘つけ、全然覚えてなかっただろ。…それは良いから、サングラスかけろ」
「おうよ」
ルリシヤが考案した、変装用のマスクを被ってはいるものの。
今この段階で、俺達の顔がバレるのは不味い。
俺達はサングラスをかけて、空港を出て歩き出した。
「ヤベーな。アリューシャヤバくね?もう洗脳された?洗脳されてる?アリューシャ洗脳されてるんじゃね?」
戦々恐々としているアリューシャ。
シェルドニアの実態を知る俺達にとっては、気になるところだが。
「心配するな。数日滞在するくらいなら、洗脳の影響は受けない」
あれは、年単位でシェルドニア王国に住み続けた者だけがかかる。
じわじわと、侵食されていくように。
「それより、あまりきょろきょろするな。怪しまれるぞ」
「お、おう…。分かっちゃいるけど、本当にあれだな。あちこち、真っ白だな」
真っ当な感想だ。
異国人なら、誰でも思うだろう。
この国は、何もかもが真っ白だ。
コンクリ舗装された道路まで、ご丁寧に真っ白に塗られている。
家も店も、建物の全てが白い。
道行くシェルドニア人の服装も、頭の飾りから靴まで真っ白。
唯一白くないものと言えば、シェルドニア王国を覆う、青い空くらいのものだ。
とはいえ、今はもう夕暮れの時間なので、赤くなってきているが。
「成程なぁ…。こりゃ、ルレ公にはキツい国だな」
そうだろうな。
あいつはむしろ、周りの全てが黒いことで落ち着くタイプだからな。
だからって、他人と、しかも帝国騎士団の人間と同居するのに。
無断で勝手に、部屋の内装を真っ黒にするのは、どうかと思う。
ルーシッドは、もう少し抗議しても良かったと思うぞ。
まぁ、抗議したところで、聞く耳を持つルレイアではないが。
「何気に、アリューシャにもキツいぜ。アリューシャ、元ゴキブリだからさ。こんな真っ白なところにいたら、一瞬で見つかるじゃん」
「…何を言ってるんだ、お前は…」
誰がゴキブリだって?
「で、ルル公。アリューシャ達、これからどうすんの?」
「あのな…。機内で散々説明したろ?今日はもう動かない。近場に予約したホテルで、まずは一泊する。動くのは明日からだ」
「りょ!助かる〜!飛行機の中で、全然寝られなかったからさ〜!時差ボケで超眠いんだよね〜」
「…」
…お前、機内でめちゃくちゃ寝てなかった?
多分、いつもの日課の昼寝をしていないから、アリューシャの中では「全然寝られなかった」判定になっているのだろうが。
お前の一日の睡眠時間、どうなってんだよ。


