The previous night of the world revolution6~T.D.~

そうだというのに。

「アリューシャはなぁ、あのライフルが傍にないと、落ち着かねーの」

何だ、その我儘。

「何でだよ…。何でも良いだろ、武器なんて」

「何でも良くねーよ!」

凄い食い気味に怒ってきた。

まぁ、武器に対するこだわりがある奴は、とことんこだわってるからな。

俺は別に、手に馴染みさえすれば、特に武器にこだわりはないし。

ルリシヤなんかは、その時々によって持ってる武器が違うし、どんどん凶悪さも増しているが。

ルレイアやルーチェスは、それぞれ自分の持ち武器が決まっている。

そう思えば、アリューシャの場合。

何より、精密さと正確さを必要とするスナイパーにとっては、自分の手に馴染んだライフルというのは、手放し難い大事なものなのかもしれない。

特にアリューシャは、武器の性能と言うより、自分の実力で当てるタイプだからな。余計に。

…ん?そういえば、アリューシャのライフルと言えば。

「お前あれだよな、持ってるライフル、いつも変わらないよな」

「ん?」

「何なら…俺が『青薔薇連合会』に入ったときから、ずっと同じライフル使ってないか?」

もう、何年前の話だよ。

10年以上はたってるぞ。

10年もたてば、いかに最新の武器であっても、すっかり型遅れになってるだろうし。

メンテナンスを怠っていないとはいえ、やはりどうしても、経年劣化には耐えられない。

色んなところに、ガタが来ているはず。

それなのにアリューシャ、未だにいつも同じライフル使ってるよな。

「あー、あれな…。ダメになったら換えようとは思ってたけど、いつまでたってもダメにならねぇんだよなぁ」

「はぁ?」

何だ、それは。

そんな武器が有り得るのか?

「魔法でもかかってんのかねぇ」

「お前、適当なこと言って…」

「いやいや、これ、シュスリーのライフルだから。あながち有り得ないとは言い切れねぇんだよな」

…。

…誰?

「とにかくアリューシャは、あのライフルが一番良いんだよ」

「…ふーん…」

まぁ、お前がそう言うなら、否定はしないが。

ルレイアとかルーチェスは、武器の形にはこだわるが、ずっと同じ個体であることにはこだわらない。

今使ってるのがダメになったら、同じ武器で新しいものを発注している。

例の、『オプスキュリテ』という武器屋に。

あの武器屋には、いつもいつも、ルレイアの鎌を特注で用意してもらって、申し訳ないと思ってるよ。

『オプスキュリテ』なら、いくらでもアリューシャの手に馴染むライフルを、見つけてきてくれそうだが。

アリューシャが、「それが良い」と言うなら、それで良いのだろう。

…ともかく。

「…さぁ、行くぞアリューシャ。シェルドニアに」

「おうよ!アリューシャが一緒だからな。大船に乗ったつもりでいろよ!」

「…」

転覆しないか不安になるから、アリューシャ号には、出来るだけ乗りたくないものだ。