The previous night of the world revolution6~T.D.~

…何だこいつは。

髪を明るく染め、若干チャラい感のある学生。

男だから、スリーサイズは知らん。

つーか、ネイルをは駄目なのに、髪を染めるのは良いのかよ。

普段の俺だったら、こんな、人生のほほんと生きてる人間とは、絶対に関わりたくもない。

しかし。

同じ学部の学生なら、仲良くしておかねばならない。

ランドエルス騎士官学校にいたときのことを思い出せ。

周囲の人間とは、程良く仲良くしろ。

…で。

こいつは今、帝都から来たのかと聞いたな。

「そうですよ。帝都出身です」

俺は、にこやかに「業務用」の笑顔で答えた。

この笑顔に、騙されない者はいない。

少なくとも、相手が素人なら。

案の定。

「良かった〜。仲間がいた!俺も帝都出身なんだ〜」

あっそ。

だから何?と思うけど。

「ほら、ここって国内色んな地方から、色んな奴が集まってるじゃん?案外帝都出身の人って少ないと思って」 

あっそ。

確かに、ここは王立ルティス帝国総合大学。

帝国1とも呼ばれる大学なのだから、地方の自称頭良い坊っちゃん嬢ちゃん達が、全国から集まっている。

地方の田舎から来ている学生も、少なくはない。

帝都にある大学なのに、案外、帝都出身の学生の方が少ないのでは?

知らないけど。

「じゃ、高校は?何処校?」

おっと。

「高校ですか?高校はですね…」

俺は、こんなときの為に用意していた高校の名前を答えた。

まさか、帝国騎士官学校出身です、とは言えないからな。  

だから、帝都に実在する高校の名前を借りている。

願書を書いたときも、その高校の名前を使わせてもらった。

同時に、偶然同じ高校卒で総合大学に来た生徒がいた場合、

「え?君みたいな人、高校のときいなかったはずなんだけど…」ってシチュエーションが起きかねないので。

アイズがハッキングして調べてくれ、俺が名前を借りた高校からは、この大学を受験した生徒は一人もいないことが分かっている。

なので。

「へぇ〜。そうなのか、俺は○○校だよ」

彼は、俺が名前を借りた高校とは、また違う高校の名前をあげた。

超どうでも良い情報をありがとう。

君が何処の高校出身だろうと、俺にとっては死ぬほどどうでも良い。

「俺はエリアス。エリアス・アッシュフォード。宜しくな」

ようやく。

馴れ馴れしくも、俺に話しかけてきた男の名前が分かった。

さて。

向こうが名乗ってきたなら、俺の方も名乗らなくてはな。

「俺はルナニア・ファーシュバル。こちらこそ宜しくお願いしますね」

相変わらず、「業務用」の笑顔を浮かべ。

俺は、ランドエルス騎士官学校潜入時代に名乗っていた、懐かしい名前を口にした。

ルナニア・ファーシュバル。

俺が、偽りの俺であるときの名前だ。