The previous night of the world revolution6~T.D.~

ともあれ。

俺は、両腕いっぱいにポテチ(本当にファミリーサイズ)を抱えたアリューシャと共に。

アイズの執務室を訪ねた。

「アイズ、入るぞ」

「アイ公〜」

「…?どうしたの、君達」

アリューシャがスコープ越しに見た様子では、眉間に皺を寄せて、落ち込んでいるらしかったが。

今俺の目の前にいるアイズは、いつもと同じく、冷静で穏やかで、少しも悩んでいる風ではなかった。

…だが。

「何だこの野郎、全然落ち込んでないじゃないか馬鹿アリューシャ」とは言わない。

言えない。

だって、アリューシャがスコープ越しに「見た」と言うのだ。
 
他のことはさておき、ことアリューシャの狙撃の腕前においてだけは、絶大な信頼を寄せている。

他のことはさておき、な。

アリューシャが見たって言うんなら、そうなんだろう。

そして、俺も騙されない。

お前は、いつだってそうだ。

皆を心配させないよう、不安にさせないように、気丈に振る舞うのだ。

例え自分が、不安に押し潰されそうでも。

「アイ公〜っ!」

アリューシャが、アイズに飛びついていった。

半泣きで。ポテチ抱えて。

「どうしたのアリューシャ…」

「ポテチあげる!アリューシャが丹精込めて、アイ公にポチってもらったポテチ、アイ公にあげるから元気出して!」
 
お前、何の努力もしてねぇじゃん。

アイズも困惑だろうな。自分が発注してアリューシャに渡した箱買いポテトチップスが、自分のもとに返ってきて。
 
「え、ど…どうしたの…?」

本当に困惑してるし。

当たり前だ。

そもそも、ポテチくらいで元気が出ると思い込んでるのは、アリューシャくらいのものだ。

「アイ公がさぁ!ポテチでさぁ!スコープで見たら、ポテチが、ポチっと!元気出るって!アイ公で!3キロ先でな!ビルの。アイ公を3キロ先のビルでポチったんだ!」

「…!?」

アリューシャ、錯乱。

お前さ、パニクったときの語彙力何とかしろよ。

算数じゃなくて、国語も教えてもらえ。

アイズが発注されたみたいになってる。

「…ルルシー。私注文されたの?」

真顔で、アイズは俺の方を向いた。

「…心配するな。されてないから」

危うく、アイズ二人目が『青薔薇連合会』に届くところだった。