The previous night of the world revolution6~T.D.~

「…これは…」

…俺の中に、あまり思い出したくない既視感が浮かんだ。

「初めて見るだろう?」

ヒイラが、何故か嬉しそうに言った。

違う。

俺は、これを知っている。

見たことがある。

何なら、「体験」したことさえある。

そして、唐突に理解した。

ヒイラが何故、ルティス帝国に革命を起こそうとしているのか。

何故、そんな無謀とも思える夢物語を、自信たっぷりに語れるのか。

これがあるからだ。

その通りだ。これがあれば、お前の理想は容易く叶えられる。

俺は、それを知っている。

「何で…こんなものを…」

「とあるツテで手に入れたんだ」

何だ、そのツテっていうのは。

「とはいえ、これはまだ開発途中なんだ。如何せん、技術者も研究者も少なくて」

「…」

「今のところ、まともな研究者は、これに関する資料を持ってきてくれた『博士』だけ…。そこでだ、同志ルニキス」

ヒイラは、好奇心に満ちた少年のような顔で、俺を見た。

「君は賢いし、頭が良い。君も、これの開発に従事して欲しいんだ」

「…俺が…?」

「そう。必要なら、君が見込んだ同志を、研究チームに引き入れても良い。如何せん、ウチは研究職がろくにいないもんでね」

…そうだろうよ。

ただ熱意だけで集めた、若者達の烏合の衆なのだから。

そんな烏合の衆が、本気でこれに手を出すなんて。

一体どんな経緯があって、こんなことになったんだ。

ヒイラを問い詰めたかったが、俺がこんな「モノ」について知っていることがバレたら、俺の素性を疑われてしまう。

この場所では、ヒイラ以外、知っていてはならない禁忌だ。

だから。

俺は、得意のポーカーフェイス、ならぬマスクドフェイスを、遺憾なく発揮し。

素知らぬ顔を貫いてみせた。

「後で、君にも『博士』を紹介するよ。一緒に研究して欲しい。これが完成すれば、ルティス帝国は大きく変わる。新しい、誰もが平等な国に」

「…」

「その為に、力を尽くして欲しい。同志ルニキス。これが、俺の…いや、ルティス帝国を照らす、希望の光なんだ」

…あぁ。

思い出した。