ルレイア先輩は、『帝国の光』が募集する奉仕活動を、タダ働きだと愚痴っていたようだが。

実は、俺も愚痴りたい。

それはもう盛大に愚痴りたい…と言うか。

労基に訴えたい。

というのも、ヒイラの側近になってから。

あまりに、毎日が忙しいからである。

ヒイラの信頼を得て、彼の親衛隊に入りたいと、あれこれ画策して努力してきたが。

今となっては、そんな努力も後悔に変わってしまっている。

各地で行われる講演会の手配に始まり、

下部組織に配る為の、ビラや広報誌作り。

『帝国の光』が密かに買い集めている、闇の武器商人との取引。

と、『帝国の光』の帳簿管理。

そして、何より忙しいのが、『帝国の光』内での党員の管理である。

何せヒイラは、次々と入党してくる若者達の素性を、一人一人ご丁寧に調べ回しているのだ。

ヒイラの側近になって初めて、いかにヒイラが『帝国の光』の党員達を信用していないかが分かった。

これらの重要な役割を、自分の近衛兵にのみやらせて。

自分が信頼していない他の党員に対しては、ただにこにこと愛想良く挨拶を交わす程度で、重要なことは何も任せない。

組織にとって大事なことを任せるのは、いつだって、ヒイラの信用を勝ち得た親衛隊だけだ。

そのせいで、数少ない俺達親衛隊に、面倒事のお鉢が回ってくるんだな。

そりゃあもう、休む暇もないくらい忙しい。

だって、上記の仕事、全部少人数の親衛隊のみでこなさなければならないのだから。

忙しくもなる。

朝から晩まで、晩から朝までだ。

毎日徹夜は当たり前。何なら、例の社宅アパートにも帰れない日がある始末。

土日祝日関係なし。毎日がウィークデイ。

良いところと言えば、社宅が無料なので、家賃がかかからないところ。

衣食住のうち、「住」だけは保証されている。

が、それ以外は、ほぼ全くと言っていいほど保証されていない。

何せ。

マジで、過労死レベルの仕事をさせられているというのに。

実は、『帝国の光』から支給される「給料」は、生活保護受給者の基準以下なのである。