The previous night of the world revolution6~T.D.~

そんな、おにぎりのみ質素弁当(?)を食べながら。

…しかしあれだね、おにぎりって、塩を少なめにすると。

マジで、ただの米の塊って感じ。

おにぎりをおにぎりと呼べるのは、ちゃんと味がついているからだ。
 
塩をケチってるからか、スーパーの激安特化の安米だからか、全然味がない。

これが炊きたてだったら、まだマシだったんだろうけど。

如何せんもう冷めてるし、温める手段もないので。

なんか、冷蔵庫から出したばかりの、冷やご飯の塊食ってる気分。

最悪の気分だよ。

しかし。

「…俺達は、恵まれてますよね」

俺は、不味いおにぎりを食べながら、しみじみと呟いた。

「ルナニア?」

「これ、美味しくないでしょう?エリアス」

海苔だけおにぎりを指差して、俺が言うと。

「あ、いや、そんなことは…ちゃんと美味しいよ」

ちょっと考えただろお前。

美味しくないなーと思ってたんだろ。そんな風に作ったんだから、当たり前だ。

贅沢は敵だからな、今は。

「良いんですよ、出来るだけ倹約しようと思って、色々ケチったんで…」

最近は、手抜きだけど美味しい!みたいなレシピも流行ってるが。

やっぱり、手抜き料理は手抜き料理だよ。

手の込んだ料理とは、味が違う。

毎日、星付きレストランシェフの料理を食べてる俺が言うんだから、これはれっきとした事実だぞ。

で、今論じるべきはそこではない。

「でも、こんなものでも、貧民街に住んでる人達にとっては、ご馳走に見えるんでしょうね」

俺は、しみじみと呟いてみせた。

心にもないことを。

「…ルナニア…」

そして、そんな俺の小芝居に踊らされる、エリアス。

お前は本当にチョロい奴だな。

「これが…現状、ルティス帝国に巣食ってる問題なんですよね。発展した都市では、捨てるほど食べ物を持て余してるのに…」

「…」

「…貧民街では、残飯のようなものでも当たり前のように…。いや…残飯でさえ、手に入れるのも難しい人達が、いるんですよね」

そういう奴らが、ふらふらと帝都にやって来て、俺達の仲間になったりするのだ。

そうやって、『青薔薇連合会』は大きくなった。

だから、そういう奴が常に一定数いてくれないと、俺達は困るのだ。

しかし。

「そうだよな…。ルナニアの言う通りだ」

俺の小芝居に踊らされたエリアスは、真剣な眼差しで頷いた。

ルティス帝国チョロい奴選手権代表を名乗れるぞ、お前。

「それなのに、そんな現状に、目を向けようとしない人が…あまりにも多過ぎる」

ビラを受け取ってくれる人が少な過ぎる、の意訳である。

今のルティス帝国の現状なんてどうでも良い、それより今晩の献立の方が大事、っていうのは分かるけど。

でも、ビラだけは受け取ってくれよ。

帰れないじゃん。俺。

「そうだな。もっと…ルティス帝国民の意識を、変えていかないと」

「えぇ。一緒に頑張りましょう」

「…あ、そうだ」

そのとき。

エリアスが、何かを閃いた。