The previous night of the world revolution6~T.D.~

えぇ、置いていきましたよあいつは。

あの女派遣員、俺達から、巻き上げるだけ金を巻き上げて。

そして、そのお礼とばかりに、面倒な置き土産を残していきやがった。

それが、この大量のビラである。

デカい段ボール箱数個に、びっしり詰め込まれていた。

『帝国の光』を宣伝するビラだ。

これを全部配ることが、俺達『ルティス帝国を考える会』に課せられた、ノルマみたいなものだ。

エリミア会長は、手隙の学生は、学内でこれを配るように命じた。

『考える会』の、アホで熱心なメンバー達は、こぞってビラの束を持っていった。

中には、本当は講義があるのに、友達に講義を代返してもらうよう頼んだり。

あるいは、講義をすっぽかしてまで、ビラ配りに勤しむ者まで出てくる始末。

お前ら、学生だろうが。

ビラ配りより、優先するべきことがあるだろう。勉強しろ。

たかがビラ配りの為に、講義の時間を無駄にするなよ。

しかし、こいつら如何せんアホだから、「ルティス帝国の未来の為」という大義名分の為。

ビラ配りの方が重要と判断して、講義を蔑ろにしている。

仕方がないので、俺もそれに同調して、今日も元気に、熱心にビラ配り。

あぁ、俺何やってるんだろうなぁ。

折角、ルティス帝国で最も健全な、カリスマ教師になる為に、わざわざ教育学部に入学したというのに…。

俺の計画が台無しだよ。どう責任を取ってくれるんだ。

で、こうして。

エリアスや、ABC三兄弟と共に、学内でビラ配りに勤しんでいた訳だが。

不定期にビラ配りに参加する、ABCとは違って。

毎日、必修科目以外の講義は全部スルーしてビラ配りに参加していた、熱心なエリアスが。

ある日、俺にこう提案してきた。

「学内だけじゃ駄目だ。もっと人が集まるところに行って、広く俺達のことを知ってもらおう」

などと、アホなことを供述しており。

あまりにもアホ過ぎたので、俺は一瞬冗談かと思ったが。

その真剣な眼差しで、これは冗談の類ではないと判断。

従って、俺もまともに会話をしなければならなくなった。

「もっと人が集まるところって?」

「学外だよ。学内の学生達には、他のメンバーが配ってるから、もうこれ以上配っても無駄だと思うんだ」

あぁ、そりゃそうだろうね。

「もらった傍から、くしゃくしゃに丸められてゴミ箱に捨てられているビラも見た。あれじゃ駄目だ」

うん、俺も見たよ。

俺は正しい判断だと思ったけどね。

「それに、渡そうとしても、断る学生も多いし…」

うん、多いね。

「あぁ、そういうのはちょっと…」とか。

「あ、要らないっす」とか。

やんわり断られたり、きっぱり断られたり。

いずれにしても、断られていることに変わりはない。

俺は安心したよ。

ルティス帝国の若者達の中でも、まだまともな感性を持ち合わせている者がいるのだと。

希望が見えた気がしたね。

しかし、エリアスはそうではないらしい。