「で…そうして集めた金は、『帝国の光』の武器購入に使われているとか?」

と、ルレイア殿。

「そうだ。ルリシヤからの確定情報だ」

「ルリシヤ、大変でしょうね。そんなところまで見せられたってことは、相当ヒイラから信用を得た…一方、かなり束縛されているでしょうに」

「…鋭いな、ルレイア。案の定だ、ルリシヤは、ほぼ『帝国の光』に軟禁状態だよ」

…そんな。

俺はその報告を聞いて、頭の中に警報が鳴った。

「『バイト』もやめさせられて、ほぼ自由が効かない。俺達との連絡も最低限で最小限、それだって、毎回綱渡りだ」

「でしょうね」

ちょ、ちょっと。

「だから、少しでもルリシヤを手助けする為に、ルーチェスに帰国してもらった。ルーチェスも、『帝国の光』に潜入してもらうつもりだそうだ」

「成程」

何だって?

ルーチェス殿下…いや、ルーチェス殿まで『帝国の光』に?

「ま、待ってください。それ…大丈夫なんですか?」

俺は、口を挟まずにはいられなかった。

いくらなんでも、危険過ぎると思ったのだ。

そんな軟禁状態で、もし尻尾を掴まれることがあったら…。

「は?大丈夫な訳ないでしょう」

ルレイア殿、一刀両断。

「これ、お宅らが持ちかけてきた仕事なんですからね。今更心配して大丈夫ですかって、白々しいこと言わなくて結構ですよ」

「う…そ、それは…」

そう言われると…言い返す言葉がない。

「あと、さっきから、うちの幹部達を馬鹿にしないで欲しいですね」

ルレイア殿は、ギロリと俺を睨んだ。

視線だけで、人を殺せそうだ。

「アイズもシュノさんも、ルリシヤもルーチェスも。馬鹿にしてます?うちの幹部達は、帝国騎士団の、坊っちゃん隊長に心配されるほどヤワじゃないんですよ」

「…す…済みません…」

坊っちゃん隊長と言われてしまった。

更に、ルルシー殿も。

「…ルレイアの言い方は悪いが、俺もルレイア同意見だ。危険な任務ではあるが…あいつらはきっとやり遂げる」

「…」

…お互いのことを。

本当に…信用しているんだ。

思わず、感服してしまいそうになっ、

「…むしろ俺は、隙あらば猪突猛進しようとする、ルレイアの方がよっぽど心配だ。いつまた、自分から猛獣の檻の中に飛び込んでないか、いつも肝を冷やしてるよ」

「え〜!俺いつも大人しい良い子じゃないですか〜」

「何処がだ?お前は俺を安心させたことがあるのか?」

「ルルシーが心配性過ぎるんですよ〜」

…感服…するのは、やめておこうかな。

「…それで、話を戻しますけど」

「こら。逃げるな」

「『帝国の光』が所有してた武器ってのは、『オプスキュリテ』経由なんですか?」

…?知らない名前が出てきた。

『オプスキュリテ』?何の名前だ?

「いや、違うそうだ。頭目を直々に呼び出して確認した」

「そうですか。でしょうね」

「分かってたのか?」

「あの人は、馬鹿じゃないですからね。自分が何と取引して、誰を信用すべきかは、心得ている人です」

「…そうか…」

…よく、分からないが。