The previous night of the world revolution6~T.D.~

ルルシー殿が、紙袋の中身を開けると。

そこには、タッパーに詰められたチキンカレー。

カレーって、大抵野菜がゴロゴロ入ってるものだと思っていたが…。

…このカレー、何故か、野菜が全部ミリ単位。

その為、半ば野菜が溶けてしまっている有り様。

「…済まんな。野菜小さく刻まないと、アリューシャが食わないんだよ」

俺の考えていることに気づいたのか、ルルシー殿がそう言った。

「あ、いえ…」

アリューシャ殿と言ったら、確か『青薔薇連合会』の幹部の一人。

俺の記憶が正しければ、凄まじい技術を持つスナイパーだったはず。

『青薔薇連合会』の超絶技巧スナイパーが、野菜嫌いとは…。

…世の中、人は見た目に寄らないってことだな。

「しかし、もう夕飯食べてたか。ちょっと遅かったな。やっぱり連絡してから来ればよかっ、」

「いえいえ、遅くなんかないですよ!今から食べます!」

目、相変わらずキラキラのルレイア殿である。

「いや、でももう用意してあるじゃないか」

「こんな豚の餌、全部ルーシッドに食わせれば良いんですよ」

さっきまで、美味しいって褒めてたのに。

豚の餌呼ばわり。

酷い。星付きレストランのシェフが作ってくれたのに。

しかも、俺が二人分食べるんですか?

そりゃ、極力食べ物を無駄にしたくはないけれども。

「あのな、ルレイア…」

「はい、そんな訳なので、ルーシッドどうぞ。俺はルルシーの愛妻カレーを食べます」

「…はい…」

済みません、ルレイア殿のハーレム会員のシェフの方々。

あなたの主の代わりに、俺が謝ります。俺の謝罪なんて、要らないかもしれないですが。

「にゅふふ。久々のルルシーの手料理!ルルシーの手汗と手垢がたっぷりと…」

「嫌な言い方をするな。あと、ちゃんとルーシッドにも分け、」

「いただきまーす!」

「おい、話を聞け」

駄目みたいですよ、ルルシー殿。

ルレイア殿、もう周りが見えていらっしゃらない。

恍惚として、ルルシー殿の手料理カレーに夢中。

「美味しい!まさにさっきまで食べていた料理が、豚の餌に感じるほど美味しいですよルルシー」

「あ、そう…。それなら良かったけど…」

ルレイア殿のハーレム会員シェフの、名誉の為に言いますが。

さっきまで食べていた料理は、断じて豚の餌ではありません。

「にゅふふ。にゅふ。やっぱりルルシーの料理が一番最高…」

「…」

物凄いフェロモンで、もう近寄るのも怖い。

…ルルシー殿。

なんか、もう、今のルレイア殿には、何を言っても通じそうにないので。

「…とりあえず、こっちは俺が食べます…」

俺は、さっきまで食べていた、ハーレム会員さんが作ってくれた料理を、再び口に入れた。

折角、星付きレストランのシェフが、ルレイア殿の為にと作ってくれたというのに。

豚の餌呼ばわりされ、挙げ句捨てられるのでは、あまりにも報われない。

二人分は、さすがにちょっと多いけれども…。

「済まんな…ルーシッド…」

「いえ…」

さっきまで、ひたすら猥談を披露されていたので。

それに比べれば、これしき。