The previous night of the world revolution6~T.D.~

「る…ルルシー殿…」

「な、何だ…?」

涙目で見つめられ、ルルシー殿は若干たじろいでいた。

大変だったんですよ。さっきまで。

ルレイア殿は猥談よりも、ルルシー殿の来訪の方がずっと重要だったようで。

「ルルシー!」

「うわっ!」

食卓を飛び出して、ルルシー殿にしがみついた。

「にゅふふ〜ルルシールルシールルシー」

「あー、うん…。はいはい…」

「会いたかったですよルルシー…。ルルシーも俺に会いたかったですよね?」

目をキラッキラさせて尋ねるルレイア殿。

「え?そりゃ…まぁ、会いたかったけど…」

「ですよね!ルルシーも俺に会いた過ぎて、口から涎が止まりませんでしたよね!俺もです〜」

「違う。そこまでは言ってない」

と言うかあなたは、寂し過ぎると口から涎が出るんですか。

聞いたことがない。そんな寂しがり方。

一周回って怖い。飢餓状態ってこと?

「あーんルルシ〜…」

ぐりぐりぐり、と頭を押し付けていらっしゃる。

この様子だけ見ていると、微笑まし…、

…くはない。充分異質だ。

なんかめっちゃ黒い人が、普通の人に絡んでるようにしか見えない。

正常な認識を保つんだ、ルーシッド。ルレイア・フェロモンに侵されるんじゃない。

「はぁ…。困った奴だよ…」

ルルシー殿。慣れているとはいえ、この光景を見て「困った奴だ」で済ませられる、あなたも大概だ。

普通の人が見たら、絶対ぎょっとするだろうから。

「それにしてもルルシー、今日はちょっと早いですね。定期連絡の時間より一時間も早いですよ」

…そういえば。

丁度めちゃくちゃピンチだったときに駆けつけてくれたから、救世主だと思っていたが。

本来ルルシー殿が連絡に訪れる予定時刻には、まだ一時間も早い。

何かあったのだろうか?

「はっ!さてはルルシー、俺に会いたくて、待ち切れなかったんですね〜?もー!寂しんぼさん!」

「寂しんぼはお前だろ。そうじゃねぇよ」

「いやん、ルルシーったらえっち!」

「何処がだ!」

何。このやり取り。

これを見せられている俺は、どういう反応をすれば良いのか。

『青薔薇連合会』では、日常的な光景なんだろうなぁ…。

俺は帝国騎士団所属で良かった。毎日こんな光景を見せられたら、どうしたら良いのか分からない。

多分大抵の人は、俺と同じ反応だと思うよ。

順応する方がおかしいんだ。

「そうじゃなくて、夕飯時に間に合うかと思って、これ」

ルルシー殿は、持参した茶色の紙袋を差し出した。

…あれは…?

「何ですか?」

「チキンカレー。俺が作った」

「!」

覚醒するルレイア殿。