The previous night of the world revolution6~T.D.~

…なんとも摩訶不思議な夫婦だなぁ。

いやでも、ルレイア殿の弟子だと思えば、それで納得が行くんだから、これまた不思議だ。

などと思いながら、俺はルーチェス殿の奥さんと共に、ルティス帝国に向かって飛んでいく飛行機を眺めていた。

ルーチェス殿、どうか無事で…。

…すると。

「あーあ。飛んでっちゃったなぁ」

ルーチェス殿の奥さんが、ポツリと呟いた。

「飛んでっちゃったねぇ、ルーチェス君」

「あ、はい…そうですね」

「…早く戻ってこないかなー」

…いや、今飛んでいったばかりですから…と。

言おうとして、そしてやめた。

彼女の目に、涙が浮かんでいるのが見えたからだ。

「向こう見ずなところあるからなー、ルーチェス君…」

それは…。

…師匠譲りだと思います。

「あと、一度決めたら『これでもか!』ってくらい譲らないし…」

それも…。

…師匠譲りだと思います。

「なのに頼もしくってさー…。びっくりするくらい強いし…」

それも…。

…師匠譲り(ry。

「でも、心配だなぁ…。いや、私よりかずっとしっかりしてるけど。でもあれで元王子様だから、世間知らずなところあるし…大丈夫かなぁ…」

「…大丈夫ですよ」

俺は、ルーチェス殿とはまだ日が浅いが。

彼の師匠のことは、よく知っている。

だから。

「あのルレイア殿のお弟子さんなら…それこそ世界を敵に回してでも、あなたを迎えに来ますよ。必ず」

「…」

「だから安心して、待っていましょう。例えどんな問題でも、きっと何事もなかったかのように片付けて、何事もなかったかのように帰ってきますよ。信じて、待っていましょう」

「…うん、そうだね」

そう言って、彼女は瞳に浮かんだ涙を拭った。

「そういえばルーチェス君、何事もなかったように『青薔薇連合会』の下部組織を壊滅させて、何事もなかったように王族をやめて、何事もなかったように私と結婚してくれたんだもんね。きっと今回も、何事もなかったように迎えに来てくれるよ」

思わず、噴き出すかと思った。

あの人、そんなことしてたんですか?

本当に、本ッ当に…。

…師匠譲りだな。

俄然、安心感が湧いてきたので。

俺達は、どっしりと構えて、彼が戻ってくるのを待ちましょう。