The previous night of the world revolution6~T.D.~

しばし、ぼーっと天井を見上げていたセカイさんは。

「…それってさー、ルーチェス君」

「はい」

「やっぱり、上の人からの命令なの?ルーチェス君だけ帰ってこい〜って」

上の人…アイズさんは、まぁ確かに上の人ですね。

「そうなりますね」

「私、邪魔?」

「邪魔と言うより、手間です」

「手間…?」

「守らなきゃならないので。あなたのことを」

「…」

アイズさんは、何も僕が憎いから、セカイさんを置き去りにして、ルティス帝国に帰ってこいと言っている訳ではない。

むしろ逆だ。

セカイさんを連れて帰ったら、危ないから。

僕は、僕一人の身なら、どうとでも守れるけれど。

またセカイさんを人質にでも取られたら、僕は動けなくなってしまうから。

だから、彼女はまだ、箱庭帝国にいてもらった方が良い。

その方が、確実に安全が保証される。

箱庭帝国にいる限り、『帝国の光』はセカイさんに手を出せない。

ここで彼女を預かってもらっていれば、僕はルティス帝国で、自由に動ける。

だからこそ、僕一人だけに帰国を促しているのだ。

二人で戻ったら、またセカイさんが危険な目に遭いかねないから。

「そうか…。そうだよね、私弱いもんなぁ…。ルーチェス君に守ってもらわなきゃ、自分の身も守れない…」

「…」

「ルーチェス君に、飛び蹴りの一つも食らわせらなかったもんなぁ…」

「…」

…そんなこともありましたかね。

避けちゃったんで。ごめんなさいね。

「別に、セカイさんが悪い訳じゃありませんよ」

「でも、ルーチェス君が悪い訳でもないよね」

「僕がもっと強かったら、あなたを守れたんですけどね」

「私がもっと強かったら、ルーチェス君を困らせることもなかったんだけどね」

…無い物ねだり夫婦。

「そうかぁ…。ルーチェス君、一人で帰るのかぁ…」

…。

…心に来ますね。

僕の心を擬人化したら、今頃土手っ腹に風穴開いてるくらいには、ダメージを負ってる。

「私を見捨てて帰るのね」って言われてる気分。

実際、見捨てて帰るも同然だし。

「しかもルーチェス君、危ないところに帰って、危ない任務をするんでしょ?」

「うーん…。まぁ、そうなるでしょうね」

憎き『赤き星』は、瓦解したと聞いたが。

まだ、真打ちの『帝国の光』が残っている。

僕が本国に召喚されたのは、その『帝国の光』に対する戦力の一つに数えられているからだ。

『帝国の光』は、『赤き星』とはまた違う意味で、危険な連中だと聞いた。

そんな連中を相手にするのだから、確かに危険な任務なのだろう。