The previous night of the world revolution6~T.D.~

その日。

俺は、アパートを引っ越した。

引っ越したと言っても、今まで二階に住んでいたのが、一階の部屋に移っただけだ。

さよなら205号室。

こんにちは103号室。

部屋の番号と階が違うだけで、部屋の間取りは同じだった。

備え付けの家具も同じだが。

何より違うのは、この部屋には、監視がない。

カメラも、盗聴器もない。

念の為、エアコンや電灯を掃除する振りをして、天井付近や。

これまた掃除の振りをして、カメラの類を仕掛けやすい、コンセント付近を探してみたが。

何も見当たらなかった。

アパートの住人達の態度も、あの気持ち悪い猫撫で声ではなくなり。

新しい同志を迎えるときのそれ。

成程、今までは本当に、全然信頼されてなかったんだなって。

まぁ、今も警戒くらいはされてると思うが。

で、今朝まで俺が使っていた、監視付きの205号室だが。

今度、また新しい住人が入ってくるらしい。

いつぞやの俺のように、監視される毎日が始まるのだろう。気の毒な。

更に、205号室のような部屋を、更に増やし。

『裏党』でもヒイラに信用されている党員を、一人でも増やす心積もりなのだとか。

監視されるのも嫌だが、監視する側になるのも嫌だな。

…それはともかく。

部屋の中に監視がないというのは、とても良いことだ。

この俺から、監視を外すという愚を犯した報いを、存分に受けてもらうとしよう。