The previous night of the world revolution6~T.D.~

この、「大丈夫か」という華弦の質問。

これは、あくまでそのままの意味だ。

言うなれば、「(撤退しなくて)大丈夫か」ということ。

ここで俺が、言葉を濁したり、「ちょっと体調を崩しまして…」とか言ったら。

その時点でスパイ活動は終わり。

すぐさま『青薔薇連合会』は、『帝国の光』から手を引くことになっている。

しかし、今回は。

「あ、はい…。大丈夫です」

これも、そのままの意味。

「実は別の仕事が見つかって…。そちらに注力することにしたので…」

『…そうですか』

これで、伝わるはずだ。

「俺は大丈夫だから、このままスパイ任務を続行する」という意味。

『…分かりました。…もし、また困るようなことがあれば、戻ってきて良いですからね。あなた、売れっ子でしたから』

「はは…。ありがとうございます」

『何かあれば、いつでも連絡してください』

これも、言葉通りの意味。

「手に負えない事態になったら、いつでも連絡しろ」という意味だ。

「お世話になりました。本当に…」

『いいえ、お元気で。…あ、制服、出来るだけ早めに送ってくださいね』

これは、「早めに詳細を伝えろ」という意味だ。

勿論、俺もそのつもりだ。

ヒイラが許す限り、だがな。

「はい、分かりました。…それでは、失礼します」

『はい。失礼します』

そう言って、通話は切れた。

…さぁ。

これで最低限、こちらの状況は向こうに伝わったことだろう。

ひとまずは、これで充分だ。

で、一応ヒイラの機嫌取りでもしておくかな。

「意外と、すんなりやめられたよ。もっと引き留められるかと思った」

「いくらでも代わりがいるってことじゃないのか?『帝国の光』では、君の代わりは何処にもいないけどな」

お前の居場所はここしかない、とアピールしてくる感じ。

圧を感じるな。なんか…圧を。

ホストの代わりもいないだろ。

代わりがいたとしても、電話一本で「今日でやめます」で済ませるのはないと思うぞ。