The previous night of the world revolution6~T.D.~

「あぁ、はい…。店長、俺のロッカーの場所、分かります?左から二番目の…」

『えぇと…。左から二番目、ですか?ごめんなさいね、私男性ロッカーには入らないもので』

上手い。相手が華弦で良かった。

「えーと…。ミズチ先輩と、ウィル先輩の真ん中です。目印に、赤い星のマグネットつけてると思うんですけど」

『そうですか』

勿論、そんな先輩はいないし。

そんなマグネットはつけていない。

ロッカーの場所が、誰かと誰かの間に挟まれていたら、「身動きが取れそうにない」。

赤い星のマグネットは、危険度を表している。

警戒レベルがマックスだったら、赤。

これが黄色だったりオレンジだったら、警戒レベルが下がる。

現状俺、ほぼ見動きが取れず、危険度も増しているので、赤だ。

更に。

『中身はどうしましょう?』

「確か、二着ほどはロッカーに入れてあるんですけど…。一着は手元にあるんで、洗濯して郵送します」

『分かりました』

横目でヒイラを見たが、制服の返還には、口を挟む気はなさそうだった。

まぁ、大抵の場合制服ってのは、店から借りているだけで。

自分の私物って訳じゃないからな。

やめるのなら、返すのが筋だ。

そして、その返還する制服に、色々と仕込ませてもらおう。

「あと、ロッカーの中に、俺の名刺が残ってると思うんですけど…。多分、7、8枚くらい…それ、処分しておいてもらえますか」

『はい』

これも暗号だ。

「名刺」は、俺達が事前に想定した、ありとあらゆる状況のパターンのリスト。

「7、8枚」というのは、7は目眩ましの為のブラフで、重要なのは8。

リストにある、8番目の状況に陥っていることを、華弦に伝えているのだ。

そして俺達が想定した、8番目の状況は。

『帝国の光』が、何らかの武力を行使するつもりであるor武器の類を所持している、というもの。

これで、こちらの状況は、華弦に伝わっただろう。

伝えたいことは、大体こんなところだが…。

今度は、店長役の華弦が聞いてきた。

『それにしても、大丈夫ですか?こんなにいきなり…』

これが本当に、バイト先の店長だとしたら。

相当優しいよな。

普通だったら、「やめる!?こんないきなり!?ちょっと一回顔出してよ!」くらいは言われるぞ。

しかし、これはあくまで、暗号によってこちらの状況を伝える為の、情報伝達なのだ。