「一つずつ聞こうか」
「あぁ、まずは引っ越して欲しい」
それは有り難い。
本気で、「ありがとう」って言いそうになった。
俺はようやく、あの家具家電監視付きのアパートから抜けられるのか。
だが、俺はあくまで首を傾げてみせる。
「引っ越し?」
「あぁ。引っ越しって言っても、部屋を移動して欲しいだけだ」
…成程、理解した。
「今だから言うけど、あのアパートは、監視付きのアパートだったんだ」
知ってる。
初日から知ってる。
「えっ…」
しかし、俺は驚いた振りをしてみせる。
「部屋の中にも監視カメラや盗聴器があるし、同じアパートに暮らしてる住人達にも、君を監視するように頼んであったんだ」
だろうな。
初日から気づいてる。
「…何でそんなこと…」
しかし、俺はあくまで、寝耳に水の反応をする。
「ごめんな」
人様を24時間監視しておきながら、ごめんなの一言で済ませるとは。
全くけしからん。
え?お前もルルシー先輩の部屋に、あれこれ仕掛けてるだろって?
あれは良い。誰が許さなくても、俺の仮面が許すから。
ルレイア先輩も喜んでるしな。
後輩からの、可愛いプレゼントみたいなものだ。
普通の人なら、激高してもおかしくないところだが。
そんなことしてたら、折角開きかけたヒイラの信用を失いかねないので。
「どうして…そこまで…」
寛大な反応をしてみせる。
普通は怒ると思うぞ。
「それだけ、君に期待してたってことなんだ。そう思ってくれないか?」
思わないだろ。
「君を信用したかった。君を信用する証拠が欲しかった。だから、君を見張ったんだ。悪かったと思ってる」
「…」
「気を悪くしないでくれ。あれも、通過儀礼の一環だったんだ。この地下を見ることが出来る党員は、皆似たような処遇を受けてる」
だから、監視をつけられたことも光栄に思え、と?
そりゃ確かに、光栄なことだな。
「…分かってる。気にしなくて良い」
俺は、言い訳と言う名の謝罪を繰り返すヒイラに、優しくそう言った。
内心「何言ってんだこの馬鹿」と思っていたが。
それは、仮面の下に隠しておいた。
ヒイラとの関係を、悪くする訳にはいかない。
経緯はどうあれ、ようやくヒイラが俺を信用しようとしてくれているのだから。
そこに水を差してはならない。
「それで…今度は、俺が監視する側になれば良いんだな?」
「…あぁ、そうなる。また今度、新しい党員が入居する予定だから…」
「そうか。そういうことなら、協力するよ」
「…ありがとう」
ついさっきまで監視されていた者が、今度は別の人間を監視する側に回るとは。
なんという皮肉だ。
ともあれ、監視がなくなるのは良いことだ。
随分やりやすくなるだろう。
どうせなら、あのアパートそのものから出して欲しかったんだがな。
かと言って、「じゃあこの建物に住み込みで」と言われたら、それはそれで絶対に嫌なので。
別の部屋に移動させられるだけでも、まだマシか。
「じゃあ、二つ目にやって欲しいことっていうのは?」
「あぁ…。それなんだけど、同志ルニキスは、ホストクラブでバイトしてるって言ってたよな」
「あぁ、そうだが」
ルレイア先輩のホストクラブだな。
「あのバイト、やめてきて欲しい。今、すぐに」
「…」
…これまた、手前勝手な注文が来たぞ。
「あぁ、まずは引っ越して欲しい」
それは有り難い。
本気で、「ありがとう」って言いそうになった。
俺はようやく、あの家具家電監視付きのアパートから抜けられるのか。
だが、俺はあくまで首を傾げてみせる。
「引っ越し?」
「あぁ。引っ越しって言っても、部屋を移動して欲しいだけだ」
…成程、理解した。
「今だから言うけど、あのアパートは、監視付きのアパートだったんだ」
知ってる。
初日から知ってる。
「えっ…」
しかし、俺は驚いた振りをしてみせる。
「部屋の中にも監視カメラや盗聴器があるし、同じアパートに暮らしてる住人達にも、君を監視するように頼んであったんだ」
だろうな。
初日から気づいてる。
「…何でそんなこと…」
しかし、俺はあくまで、寝耳に水の反応をする。
「ごめんな」
人様を24時間監視しておきながら、ごめんなの一言で済ませるとは。
全くけしからん。
え?お前もルルシー先輩の部屋に、あれこれ仕掛けてるだろって?
あれは良い。誰が許さなくても、俺の仮面が許すから。
ルレイア先輩も喜んでるしな。
後輩からの、可愛いプレゼントみたいなものだ。
普通の人なら、激高してもおかしくないところだが。
そんなことしてたら、折角開きかけたヒイラの信用を失いかねないので。
「どうして…そこまで…」
寛大な反応をしてみせる。
普通は怒ると思うぞ。
「それだけ、君に期待してたってことなんだ。そう思ってくれないか?」
思わないだろ。
「君を信用したかった。君を信用する証拠が欲しかった。だから、君を見張ったんだ。悪かったと思ってる」
「…」
「気を悪くしないでくれ。あれも、通過儀礼の一環だったんだ。この地下を見ることが出来る党員は、皆似たような処遇を受けてる」
だから、監視をつけられたことも光栄に思え、と?
そりゃ確かに、光栄なことだな。
「…分かってる。気にしなくて良い」
俺は、言い訳と言う名の謝罪を繰り返すヒイラに、優しくそう言った。
内心「何言ってんだこの馬鹿」と思っていたが。
それは、仮面の下に隠しておいた。
ヒイラとの関係を、悪くする訳にはいかない。
経緯はどうあれ、ようやくヒイラが俺を信用しようとしてくれているのだから。
そこに水を差してはならない。
「それで…今度は、俺が監視する側になれば良いんだな?」
「…あぁ、そうなる。また今度、新しい党員が入居する予定だから…」
「そうか。そういうことなら、協力するよ」
「…ありがとう」
ついさっきまで監視されていた者が、今度は別の人間を監視する側に回るとは。
なんという皮肉だ。
ともあれ、監視がなくなるのは良いことだ。
随分やりやすくなるだろう。
どうせなら、あのアパートそのものから出して欲しかったんだがな。
かと言って、「じゃあこの建物に住み込みで」と言われたら、それはそれで絶対に嫌なので。
別の部屋に移動させられるだけでも、まだマシか。
「じゃあ、二つ目にやって欲しいことっていうのは?」
「あぁ…。それなんだけど、同志ルニキスは、ホストクラブでバイトしてるって言ってたよな」
「あぁ、そうだが」
ルレイア先輩のホストクラブだな。
「あのバイト、やめてきて欲しい。今、すぐに」
「…」
…これまた、手前勝手な注文が来たぞ。


