The previous night of the world revolution6~T.D.~

おまけに。

この武器を、誰が使うのか知らないが。

武器というのは、使い手を選ぶ。

包丁一本だって、持ち主によっては、綺麗な飾り切りを出来る者もいれば。

飾り切りどころか、桂剥きも出来ませんって人もいるだろうし。

拳銃だって、漫画やアニメでは、初見でぶっ放して、当たり前のように当てているが。

実際本物の拳銃を手にしたら、簡単に当てられるものではないぞ。

誘導弾じゃないんだからな。

引き金さえ引けば当たると思ったら、大間違いだ。

まず、引き金を引くという行為そのものに、抵抗を覚える者の方が多いだろう。

だからこそ、アリューシャ先輩の狙撃術には、いつも感嘆させられる。

あの百発百中の狙撃術を身につけるのに、一体どれほどの努力と苦労があったことか。

マフィアにいる者は、武器というものの扱いにくさを知っている。

故に、アリューシャ先輩がいくら…精神的に幼い言動を繰り返していても。

彼の狙撃術を見れば、皆黙り込み、彼を立派な幹部だと認めるしかないのだ。

誰も真似出来ない芸当だから。

素人なら、例え標的がゼロ距離の位置にいても、当てられない者もいる。

不思議なことではない。

それまで、一度も拳銃というものに触れたことがなければ、余計にそうだ。

モデルガンじゃない、玩具の類ではない。

本物の鉛玉が発射される、人を殺せる、本物の武器。

人の命を、人差し指の一本で奪える道具。

それを初めて手にしたとき、人はどんな反応をすると思う?

『セント・ニュクス』にいたとき、俺はそれを痛いほど経験させられた。

幼い頃から、訓練をしていた俺はともかく。

路地裏で、生意気にチンピラやっていたような連中でも。

初めて本物の拳銃を渡したら、身体中ぶるぶる震えて、取り落としても不思議じゃなかった。

武器というのは、それだけでそういう力があるのだ。

ましてやそれを人に向け、冷静に引き金を引け、という行為自体が、人間の本能に反している。

相当訓練を積んだ者でなければ、ここにある粗悪品の武器は、粗悪品を通り越して、無用の長物でしかない。

ガラクタ以下の価値しかない。

そして、これをガラクタではなく、武器としてちゃんと扱える者が、ここにどれだけいるのか。

生まれてから、一度も命のやり取りをしたことがないような連中の集まりが。

学生かぶれの、ちょっとばかり共産主義を齧っただけの、自称知識人が。

どうやって、これらの武器を扱えようか。

例え、若さ故の情熱で、目が眩んでいたとしても。

いかに、今から訓練を始めたとしても。

訓練と実戦は、天と地ほどの差がある。

マネキンを撃てと言われるのと、生身の人間を撃てと言われるのとでは、全く違う。

生身の人間は動くし、喋るし、命乞いもする。

そして何より、自分と同じ、命を持った生き物だ。

人殺しをしたことがない者を、いきなり戦場に放り込んだとしても。

役に立たないどころか、足を引っ張るだけだ。

そこのところ、ヒイラは分かっているのだろうか?