The previous night of the world revolution6~T.D.~

「…何でって…」

「お前は言ったはずだ。対話と相互理解によって、この国を変えると。それなのに、ここにある武器は何だ?何の為に、誰の為に、誰が使うんだ…?」

「そんなの決まってるだろう?君は頭が良いから、分かってるものだと思ってた」

あぁ、分かっていたよ。

だけど、それでも聞かずにはいられなかっただけだ。

お前の、その明るい笑顔の裏に隠された、腹黒さを暴かずには、いられなかっただけだ。

「対話と相互理解による革命…。出来たら最高だよな。無血の勝利。かつて『天の光教』の教祖ルチカ・ブランシェットが目指した、人々の思想改革による政治革命」

と、ヒイラは笑顔で言った。

「でも、現実はそんなに甘くない」

…そうか。

やはり、お前にも分かっていたのか。

分かっていながら、馬鹿な大衆達に、矛盾したことを言い続けていた訳だな。

「…それで、暴力に訴えるのか」

「仕方がない。必要な犠牲だよ」

笑顔で言うことではない。

ヒイラの信用を得る為には、あまりこういうことは言わない方が良いのだろうが。

それでも俺は、彼の矛盾を指摘しない訳には意がなかった。

「俺達人間は、ルティス帝国民は、皆平等なはずだ。それなのに、政変によって流される血があって良いのか?苦しむ人が変わるだけで、この武器のせいで苦しむ人が生まれることに、変わりはないんだぞ」

今も苦しんでいる人々を救いたい、と言いながら。

お前はこの武器で、今度は別の人間を苦しめようとしているのだ。

そのことに対する、罪悪感はないのか。

しかし。

「勿論、それは分かってるよ。俺達がこれを使えば、血が流される。苦しむ人も生まれるだろうな」

「だったら、何で…」

「別に良いじゃないか」

…別に良い、だと?

あれだけ、全国民の平等主義を説いていた男が…。

「…どういう意味だ?」

「考えてもみてくれよ。俺達がこの武器を使うとして、銃口を向ける先が誰になるか」

銃口を向ける先…。

それは…。

「俺達の主張に反対する者。つまり、今の特権階級。貴族や王族や、主には帝国騎士団だ。俺も、君も憎んでいる、あの帝国騎士団」

「…」

「あいつらは、今まで特権階級で、俺達から搾取し、贅沢の限りを尽くした。それは君も知ってるだろ?」

「…あぁ、身を以て知ってるよ」

ルニキスは、貴族によって人生を転落させられた…という、設定だからな。

「今まで苦しんできた人々を、顧みもしなかった。そんな奴らが、今度は苦しめられてきた人々に武器を向けられる。小気味良いとは思わないか?」

「…復讐ってことか?」

「そこまでは言ってない。ただ、今まで人々を踏みつけにしてきた分、報いを受けるのは当然だよ」

何度も言ってるが。

笑顔で言うことじゃない。

「だから、俺達が罪悪感を感じる必要はない。俺達は、虐げられてきた人々の代弁者として、権力者達に牙を剥くんだ」

「…成程。確かに、貧民街の人々にしてみれば、多少なりとも権力者達に報復がないと、納得しないだろうしな」

「そういうことだ。さすが、頭が良いな、同志ルニキスは」

俺が頭が良いとするなら、お前は小賢しいと表現するしかないな。