The previous night of the world revolution6~T.D.~

ヒイラがエレベーターのボタンを押したのは、上ではなく、下。

この建物の地下だった。

地下なんかあったのか、って?

あったんだよ。

俺は行ったことがなかったし、行くことを許可されてもいなかったから。

敢えて危険を犯してまで、行こうとはしなかったがな。

いずれ時が来れば、見せられることになるだろうと思っていた。

そして、今がその時ということか。

つまり、少しは俺も、ヒイラの信用を得られたってことか?

それとも尻尾を掴まれ、地下拷問室で拷問されるのだろうか。

ふむ、それは恐ろしいな。

逃げるのが大変そうだ。

とはいえ、行く先が拷問室だったとしても、俺は特に心配してない。

シェルドニア王国からも脱出した俺が、今更国内の、帝都のビル地下に閉じ込められたところで。

楽勝過ぎて、俺の仮面が笑ってる。

すると。

エレベーターに乗りながら、ヒイラが口を開いた。

「なぁ、同志ルニキス」

「何だ?」

「君、本当は帝国騎士団のスパイなんだろ?」

「…………は?」

それは、あまりにも唐突な問いかけだった。