The previous night of the world revolution6~T.D.~

『何処が?本当に女王が国民を守ろうとしているなら、貧民街で苦しんでいる人達は?彼らは何なの?』

『…きっと、救おうと努力はしてるんでしょう。でも、全ての国民を、等しく救うのは無理です。神様じゃありませんから。女王陛下も、帝国騎士団も』

『そうだね。女王も帝国騎士団も人間。そして、貧民街で今苦しんでいる人達も、同じ人間なんだよ。それなのに、片や優雅な暮らしをして、片や食うや食わずの生活をしてる。これっておかしくない?』

おぉ。

なんか、真っ当に聞こえてくるから凄いな。

惑わされるなよ。

『そんな彼らを救って、全ての国民が平等な扱いを受けられる暮らしを作る。それが、私達ルティス帝国の若者の使命なんだよ』

使命とまで言うか。

そりゃご大層な使命をお持ちのことで。

『確かに俺も、苦しんでいる人々から、目を逸らしてはいけないと思います。でも、だからって…何故、それが『帝国の光』と手を組むことになるんです?』

『君も聞いたでしょ。彼の…ヒイラ・ディートハット党首の言葉。彼の理想は完璧だった。私達は、彼の理想に従うべきなんだよ』

『完璧な理想を口にするだけなら、誰でも出来ます』

良いこと言うなぁ、ルーシッド。

そう、理想論だけなら、どんな下らない人間でも語れるんだよ。

難しいのは、それを実行に移すこと。

『もっと現実を見なくては。今、ルティス帝国の体制が大きく変わったら、今苦しんでいる人々が救われるどころか、今生活に困っていない人々にも影響が及びます』

その通り。

俺とかな。

ルーシッドとか。

『そういう人達のことも考えて、もっと慎重に…』

『…うん、もう君の考えは分かった』

エリミアが、ルーシッドの言葉を遮った。

おい。正論言ってんだから、最後まで聞いてやれよ。

『つまり君は、『ルティス帝国を考える会』の方針とも、『帝国の光』の掲げる思想とも、反する訳だ。相変わらず、反対意見を口にする訳だ』

『…!誤解です。『ルティス帝国を考える会』の方針は、どんな意見でも尊重するんじゃなかったんですか?』

そうだそうだ。

お前が言ったんだぞ。

しかし。

『そうだね、どんな意見でも尊重する。だけど今、『帝国の光』に手を貸そうと、皆が一丸になってる今…君みたいな存在は、正直迷惑なんだ』

『…!』

…そこまで言うか。

語るに落ちたな、エリミア・フランクッシュ。

『皆そう思ってる。ルーカス君が、どういうつもりでいつもいつも、私達が一丸になろうとしてるのを止めてるのか、知らないけど。あれ、凄く迷惑なの。皆が苛立ってるの、君だって感じるでしょ?』

『…そうですね』

『ルーカス君だって、会の中で一人孤立してるの、嫌でしょ?皆から煙たがられるのも。ルーカス君がどんな意見を持つのも自由だけど、それはもう、『ルティス帝国を考える会』以外の場所で言ってもらえないかな』

『…だから、俺に脱会しろと?出て行け、と言うんですか?』

『強制はしてないよ。ただ、そうして欲しいって勧めてるだけ。君の為にも、その方が良いよ。これ以上皆の顰蹙を買うの、君だって嫌でしょ』

脱会を促すのは、あくまでルーシッドの為、だと?

白々しい。

『表立って皆の前では言えないから、こうして個人的に呼び出して勧めてるの。君が脱会してくれたら、『ルティス帝国を考える会』は皆一丸となって、『帝国の光』に…』

『…卑怯じゃないですか?エリミア会長』

俺がそこにいたら、絶対言ってやったであろうことを。

ルーシッドが、代わりに口にした。