The previous night of the world revolution6~T.D.~

いやはや。

「会長自らデートのお誘いとは。羨ましい限りですね」

「…茶化さないでください…」

ジョークの分からない奴だな。

「一体どうして…。何でいきなり俺を…」

まぁ、大体の想像はつく。

「実は一目見たときから好きでした!付き合ってください!とか?」

「…ルレイア殿…」

本当ジョークの分からない奴だな。

着信音がデフォルトの時点で、こいつはそういう奴だ。

「そうだったら平和で良いじゃないですか。どうするんです?…闇討ちでもされたら」

「やっ…闇討ちって」

「有り得ない話じゃないでしょう」

だから、せめて会話を明るい方向に持っていこうと、俺が素晴らしく気の利いたジョークを飛ばしたのに。

スルーしたお前が悪いんだぞ。

「『帝国の光』と手を組むことに決めた以上、一人反対意見を唱えるあなたは、エリミア会長にとって、いや…『ルティス帝国を考える会』にとって、非常に邪魔な存在です」

「それは分かってます。でも、いくらなんでも闇討ちなんて…」

甘い。甘いねぇこの坊ちゃまは。

帝国騎士団で正義厨拗らせてたら、そんな考えになるのかねぇ。

マフィアにとっては、「邪魔者=排除=死」っていう図式は、常識なんだけど。

「確かに、学生かぶれの1サークルに、そんなことは出来ないでしょうが」

忘れているなら、思い出させてやろう。

「今は、エリミアのバックには『帝国の光』がいるんですよ」

「…!」

どうやら、思い出したようだな。

「エリミアに出来ることはたかが知れてます。でも、『帝国の光』は…奴らは可愛い学生サークルじゃない。『赤き星』なんていう、過激な組織さえ抱え込んでる」

「…」

「昼間の、あの若者達の歓声を見たでしょう。あの熱に冒された連中は、何をしでかすか分からない。常に最悪の事態を考えておくべきだと、俺は思いますけどね」

年長者からのアドバイスだ。

有り難く聞け。

…とはいえ。

「そんなに怯えなくても、いざとなったら、自分の身くらい自分で守れるでしょう」

俺は、黒いケースに包まれたナイフを、ルーシッドに放り投げた。

「えっ、こ、これ…」

「闇討ちされたら、それで返り討ちにすれば良い。あなたなら、それ一本で充分でしょう」

帝国騎士団四番隊隊長の称号を持つ、ルーシッドなら。

剣じゃなくても、ナイフ一本さえあれば、素人相手くらいどうとでも出来るだろう。

何なら、ナイフすら必要ないかもな。

とはいえ、『帝国の光』が何らかの特殊部隊を用意していないとは限らないからな。

ルーシッド一人だけの為に、そこまでするとは思えないが。
 
念には念を、だ。

「言うまでもないとは思いますが、会話の内容は実況中継で」

「…分かりました」

さぁ、行って来いルーシッド。

素敵な、エリミア会長との「デート」に。