The previous night of the world revolution6~T.D.~

実際、どうするつもりなんだろう、

対話と相互理解によって…とか何とか言ってるが。

さっき言ったように、ルティス帝国の9割以上の人々が、「現状のままで良いです」と言っている状態なのに。

そんな人々に、いきなり「この国を共産主義化しましょう!」って言って、受け入れられるとでも思っているのだろうか。

それとも、説得するのか?一人ずつ、懇切丁寧に。

確かに、今ルティス帝国では、多くの若者達が、共産主義化に賛成している。

が、ルティス帝国に暮らしている、全ての若者達が、ヒイラ坊やに賛同している訳ではない。

ヒイラ坊やみたいに、「絶対今すぐ共産主義化するぞ!」なんて、熱意のある者もいれば。

「共産主義化か…なったら良いかもしれないなぁ」なんて、漠然とした考えに留まっている者もいる。

中には、「共産主義化?は?アホなの?」なんて、俺と同じく賢い考えの若者もいるだろうし。

「政治のことなんて、別にどうでも良いんだけど」という、無関心な者もいるだろう。

『天の光教』事件なんてものが起きなければ、ほとんどの者がこの、無関心勢だったろうな。

ルチカおばさんが、悪い意味で若者達のスイッチを入れてしまったのだ。

しかし。

若者達が、いかに声を上げようとも。

忘れてはいけない。

ルティス帝国に暮らしているのは、若者だけではない。

子供もいれば中年もいれば老人もいる。

そういう人々は、尚更ルティス帝国の共産主義化なんて、「冗談じゃない」と思うだろう。

結局のところ、若者がギャーギャー騒いでるだけなんだから。

ただ、若者共というのは、いつだって何かを為し遂げようとするパワーがあるからな。

俺が、復讐の鬼になっていたのと同じ。

いや、俺の復讐心と、コミュニストの小僧を一緒にしないで欲しいのだが。

それにしたって、どうするつもりなんだろう。

ルチカおばさんは、ルティス帝国を変えるには、時間がかかることを想定していた。

いずれ変われば良い、と思っていた。

だがヒイラ坊やは違う。

こいつは、こいつらは、若者パワーをフルに活用して、その若者パワーだけで乗り切ってやろうと目論んでいる。

…。

…成功するとでも思っているのだろうか?

悠長に対話している間に、お前らの若者時代、終わりそうなんだけど。

いや、それはそれで良いことなのか?

時間がかかればかかるほど、「あれ?俺何してんだろ」と、正気に戻るかもしれない。

こいつら今、若さというステータスだけで、ハイになってるだけだからな。

その若さが失われてしまえば、自然と落ち着くだろう。

この講演を聞くに、あまりにもヒイラ坊やは、「今、この瞬間にもルティス帝国を変えよう!」みたいな言い方してるが。

しかし、具体的にどうするのかとい方法は、えらく長期的で、おまけに楽観的だ。

俺はてっきり、今は亡き(死んでないが)ルチカおばさんのように、自爆テロでも起こすのかと思っていたが。

王宮にダイナマイト抱いて飛び込む、とかさ。

まぁ、そんな短絡的なやり方が、成功するはずがないのだが。

この坊っちゃん、マジで、何考えてるんだろう?