The previous night of the world revolution6~T.D.~

そもそも私、最初に「誰がスパイ役をやるか」の会議で、除外された身分だし。

それはルレイア達が優秀だったからでもあるけど、私が彼らに比べて、スパイとしての素質が劣っていたからだ。

自覚は、ちゃんとある。

私はルレイア達が潜入する、頭の良い大学に入れるほど、賢くはないし。

とりあえずそこは、同じ系列の大学でも、もう少しレベルの低い女子大学の、

更に、学内でも比較的偏差値が低いとされる社会福祉学部を受験することで、何とか事なきを得たが。

ルレイアが言っていた通り、私はまだ、スタートラインに立ったに過ぎない。

本当に大変なのは、これからなのだ。

いよいよ、スパイとしての才覚が問われる。

しかし、私にはスパイとしての才覚なんて、皆無に等しい。

私はルレイア達みたいに賢くないし、彼らのように咄嗟の機転も効かないし。

ポーカーフェイスも上手くないし、勘が鋭い訳でもないし、第一人見知りだ。

ルレイアと出会う前なんて、アシュトーリアさんと、自分の派閥にいる女性の部下にしか、心を許していなかったくらいだ。

これでも、ルレイアが来て、私の心の扉を開いてくれて。

私の人見知りも、昔に比べればかなり改善された…けれど。

未だに、知らない人に会うと、親しみより先に、警戒を覚える。

そんな私がスパイなんて、絶対向いてる訳ない。

誰に言われなくても、自分が一番よく分かってる。

…でも。

「…アシュトーリアさん」

「…なぁに?」

「私、『青薔薇連合会』の幹部です」

「…」

アシュトーリアさんは、少し驚いたような目で、私を見ていた。

多分、私があまりにも真剣な顔をしていたからだろう。

「『青薔薇連合会』の仲間は、皆家族。ルーチェスが戦えないなら、私が戦う。私が皆を守る。私だって、それくらいの力はあります。…私も、『青薔薇連合会』の幹部ですから」

「…シュノ…」

「だから行きます。役立たずにも、足手まといにもならない。私は、『青薔薇連合会』の幹部として、やるべき務めを果たします。…今も戦ってる、ルレイア達と同じように」

それが。

初めて、机と向かい合って、参考書を広げたときに、胸に誓った覚悟。

その覚悟は、今も変わってはいない。

だから、いくらアシュトーリアさんが止めても。

例え、ルレイアが「危ないから駄目」って言っても。

私は行く。

皆に守られてるだけなんて嫌だ。

私だって、誇り高い『青薔薇連合会』の幹部なんだから。