The previous night of the world revolution6~T.D.~

…うん。

そう言われるだろうと思ってたから、驚きはしなかった。

そもそもアシュトーリアさんだけは、私が潜入任務につくのも、その為に必死に勉強しているのも、嫌がっていた。

やめろ、とは言わなかったけど…やめて欲しいという気持ちは、私も感じていた。

「それは…本当に、悪かったと思ってます」

「…それでも、決意は変わらないのね?」

「はい」

私は、きっぱりと答えた。

するとアシュトーリアさんは、またしても大袈裟なほどの溜め息をついた。

アシュトーリアさんが狭量だから、反対しているのではない。

それは断じて違う。

そうじゃなくて、アシュトーリアさんはただ、私の身を心配してくれているのだ。

アシュトーリアさんは、幹部皆のことを我が子のように思っているけれど。

特に私のことは、自分の愛娘のように可愛がってくれている。

ルレイアやルリシヤ達はともかくとして、女である私を危険な潜入任務につかせることに、最後まで難色を示していた。

これでも、アイズが頑張って説得してくれたのだ。

次期首領であり、アシュトーリアさんの秘蔵っ子であるアイズが、何とかアシュトーリアさんを宥めすかしてくれたお陰で。

ようやく、一応の了承は得られたけれど。

それだって、「アイズがそこまで言うなら…」と、渋々OKしたに過ぎない。

アイズが言うには、最初に「シュノがルーチェスの代わりに潜入を志願している」と伝えたとき、

アシュトーリアさんは、「駄目」と一言、取り付く島もなかったそうな。

そこをアイズが上手く、持ち前の交渉術を用いて、鉄壁の要塞のようなアシュトーリアさんを懐柔してくれたのだ。

で、何とかアシュトーリアさんも折れてくれた。

しかし、折れてくれたとはいえ。

今も反対していることに、変わりはない。

「厳しいことを言うようだけど…。シュノ、あなたはルレイアやルリシヤやルーチェスほど、潜入任務に向いてはいないわ」

…あぅ。

分かってはいたけど、はっきり言われると、やっぱりグサッと来る。

「ましてや、『赤き星』は、あのルーチェスでさえ手を引いたほど危険な組織なのよ?」

「それは…ルーチェスには、守るものがあったから。私には…」

「何を言ってるの。あなたにもあるでしよ。あなたに万一のことがあったら、残された私達はどうすれば良いの?」

「…」

それは…ごめんなさい。

としか言いようがない。

「あなたの心意気は買うけれど…でも、だからって、自分の力を見誤って命を失うような事があったら、取り返しはつかないのよ」

「…はい。分かってます」

重々、承知の上だ。

アシュトーリアさんが止めるのは分かる。

だって、自分でも自覚しているから。

私には、スパイとしての才能は、ほとんどと言って良いほどない。