The previous night of the world revolution6~T.D.~

「は?何ですか。私の可愛いフューニャ以上に大切なことでも?」

それは後で聞くから。

俺は、3倍速で再生していた動画を、通常の再生速度に戻した。

「…これは…」

華弦も気づいたようだ。

『裏党』の党員だけが集まることを許される、あの会議室に。

何人かの党員が、ぞろぞろと入ってきた。

勿論、その中には。

「…ヒイラ…」

「…!どれですか」

「これだ」

俺は、画面の一部を指差した。

集まった党員達の、中心にいる男。

ヒイラ・ディートハット。

画面に映るあの男の顔から、いつもの爽やかな笑顔が消えていた。

本当に同一人物なのかと疑うほど、険しい顔をしていた。

『…な…か?…しの…者だと…は』

ヒイラが、何かを話した。

音声が小さくて、聞き取りづらい。

俺は画面をタップし、音量を上げた。

盗聴器からの距離が遠いせいで、若干音割れしているが、これで聞こえるはずだ。

一体、何の話をしている?

『まだ分かりません…。『赤き星』からの連絡が…』

『ルクシア・セレネの住所は分かってるんだろう?踏み込めないのか』

…!

俺も華弦も、同時に息を呑んだ。

昼間、皆の前で明るい声を出していた、あのヒイラ・ディートハットが。

今は、恐ろしく低く、そして険しい声で。

とんでもないことを言っていた。

『それが…。宅配業者を装って、党員が何度か訪ねたのですが…。留守のようで…』

『居留守じゃないのか?』

『分かりません…』

どうやら…ルーチェスの動向を探っているようだ。

彼が、すぐさま亡命を決断したのは、正解だった。

グズグズしていたら、今頃どうなっていたか。

すると。

『分からないっていうのは、どういうことだ』

ヒイラは、苛ついたようにそう言った。

『マンションの監視カメラを探れ。夜逃げしたのかもしれない』

それは正解だ。

しかし、それをお前達が知ることは出来ない。

『そ、それが…。あのマンション、妙にガードが固くて…全く入り込めないようで…』

『何だと…?』

当然だ。

あの建物は、『青薔薇連合会』所有のマンション。

警備は万全だし、外部の者の侵入は許さない。

以前、ルルシー先輩のところの、ルヴィアとかいう準幹部…。

いや、華弦曰く、世界一可愛い妹が、憲兵局の残党に命を狙われて以来。

警備は、より強固なものになっている。

監視カメラをハッキングされるなど、有り得ない。

『ふん…。つまり、あのルクシアとかいう男は、やっぱり、帝国騎士団の回し者だったってことか』

ヒイラが、忌々しそうに言った。

帝国騎士団の回し者…。

『それにしても、このタイミングで夜逃げするとは…。仕込んだ盗聴器がバレたってことか?』

『…』

成程。

ルーチェスの自宅に、盗聴器付きのぬいぐるみを送ったのは、ヒイラの指示なのか。

『それとも、別の理由があるのか…?たかが帝国騎士団の犬が、あの盗聴器に気づくとは、とても…』

…それは残念だったな、ヒイラ・ディートハット。

うちの『裏幹部』は、とても優秀な者でな。

帝国騎士団の犬とやらと同じにされたら、困るな。