―――――…その後。

ルアリスさんの、側近らしき人物に案内され。

僕とセカイさんは、『青薔薇委員会』本部近くにある、箱庭帝国一流のホテルに着いた。

「おぉ〜…!きれーい!広い!」

一流ホテルのスイートルームとはいえ、箱庭帝国の基準だから。

ルティス帝国のそれと比べたら、きっと天と地ほどの差があるだろう…と。

思っていたが。

これが、意外や意外。僕も前職が前職なので、世界各国様々な国の一流ホテルを経験したが。

箱庭帝国も、先進国に負けず劣らず良いホテルを持っていたものだ。

さすがは、観光国家を目指す箱庭帝国。

ホテルというのは、旅行の要でもあるからな。

いくら観光地が綺麗だろうと、泊まるところが汚いんじゃ、旅行客は集まらない。

逆に、観光地はちょっとつまんなくても、ホテルが良ければ評価は上がる。

そういうものだ。

やっぱり、それだけ寝泊まりする場所っていうのは、大事だってことだな。

あの坊ちゃん、そこのところ、ちゃんと分かっているようで何より。

「ねぇ、ルーチェス君」

「はい」

僕は、スーツケースを開けながら答えた。

「私達、しばらくここに住むことになる…んだよね?」

「そうなりますね」

「お偉い人の許可、もらえた?」

「もらいました」

お偉い人、とはつまり。

僕がさっきまで話してた、ルアリスさんのことだ。

箱庭帝国の代表なのだから、確かにお偉い人だな。

オツムの方は、僕の方がしっかりしてると思ったけど。

「良かった〜。『駄目だ出て行け!』って言われてたら、私達危うく難民になるところだったよ〜」

本当ですね。

…まぁ。

「そのときは、別の候補地もありましたから。アシスファルト帝国でも良いし、シェルドニア…は長期間いたらヤバいのでやめときますが、他の国でも良いし」

幸い、僕の語学力なら、大抵どの国でも通用する自信があるから。

箱庭帝国で門前払いを食らったら、他の国に行こうと思っていた。

しかし、意外なほどにすんなりと、箱庭帝国に入れてもらえて。

むしろ、こちらの方が驚いたくらいだ。