――――――…さて。

今日も今日とて、帝国騎士団の皆さんは、眉間に皺を寄せ。

険しい顔をしていらっしゃるようで、俺は思わず笑ってしまいそうだが。

若干一名は、違っていた。

「ルレイア。これを見てくれ、爪。今流行りのジェルネイルというものを試してみ、」

「ぷっ、男がネイルとかキモッ。恥ずかしくないんですかねぇ、ルルシー?」

「…お前、自分の爪に同じこと言えるのか?」

いやんルルシー。

俺のはジェルじゃないもん。セーフだもん。

そんなことより。

俺は、『青薔薇連合会』が経営するホテルの会議室の椅子に、どかっと腰を下ろした。

「さっさと本題に入ってもらえませんかね。お宅らのシケた顔見てると、こっちまで気分悪くなるんで」

「…その前に、一つ良いか?」

は?

「ルーチェス殿下はどうしている?『青薔薇連合会』にいるんだろう」

…へぇ。

一応、気にはしていたのか?

だが。

「教える義理はありませんね」

「…」

彼はもう、あんたらの側の人間ではない。

ルーチェスが何処でどうしていようと、それはルーチェスの勝手だ。

わざわざ教えてやる義理はない。

大体、今日はそんな話をしに来たんじゃないだろう。

「…分かった。じゃあ、本題に入るが」

…。

「お前達、『帝国の光』を知ってるか?」

「…あん?」

何だ、その中二病感と愛国心溢れる、気持ち悪い名前は。

聞いただけで、吐き気を催すのだが?

「あんたら、『天の光教』の残党の話をするんじゃなかったんですか?」

もしかして、その、さっき言った中二病ワードが…。

「『帝国の光』というのが、『天の光教』の教義を受け継いだ組織の名前だ」

やはり、そうか。

いかにもって感じの名前で、やっぱり吐き気がする。

「ルチカの側近の誰かが、新たな預言者にでもなりましたか」

「いや、『帝国の光』は、宗教団体ではない。非公認の政府組織だ」

ほう。

そう来たか。