The previous night of the world revolution6~T.D.~

「…約束通り、論文を書いてきました」

「…ありがとう」

抽象画の制作を後回しにしてまで、時間を割いて書いた論文だ。

きっと、彼らのお眼鏡に適うはず。

と、信じて持ってきたのだが。

サナミア党首は、僕の論文を受け取りはしたものの。

ちらりと、論文を一瞥。

…あれ。読まない?

「…読まれないのですか?」

僕、何の為に書いてきたのってなるよ。

早く読んでくれ。

しかし。

「そうですね、悪いけど…。今日は読みません」

は?

今日はって、何だ?

「人数分コピーして、ここにいる党員達に配って、明日までに読んでおきます」

…あー…そういう…。

今回し読みしろよ、と言いたいところだったが。

論文は手書きの一部しかないので、一人ずつ読んでいては時間がかかると?

読めよ。

「じゃあ、今僕がコピーしてきましょうか」

学内に、コピー機はいくつもある。

折角書いてきたんだから、今すぐ読んでもらって。

出来れば、すぐに感想が欲しい。

僕が『赤き星』のメンバーに相応しいと、さっさと認めてもらわなければ困る。

いつまでも疑心暗鬼じゃ、僕も身の置き場に困るのだ。

しかし。

「いえ、大丈夫です。私が責任を持って預かりますから」

「…そうですか」

やけに頑固だな。

どうしても、一晩かけてじっくり読みたいのだろう。

じゃあ、そうすれば良いですよ。

「…それから、今日の活動はこれまでにします」

「え?」

サナミア党首、今何て?

「私も、これをコピーして党員達に配らなければなりませんから…。あなたは、今日はこれで帰ってもらって結構です」

「…」

…お前もう邪魔だから、今日はさっさと帰れよ、と?

…横暴ですね…。

物凄く、邪魔者扱いされてる感ある。

実際、今の僕は邪魔者なんだろうけど。

まぁ、ちゃんと論文読んでくれるんなら、それで良いですけど。

時間かけて作ったんだから、真面目に読んでくださいね。

それに、僕はサナミア党首に言い返すことが出来る立場ではない。

故に。

「…分かりました。では、是非ゆっくり論文に目を通してください」

「はい」

「それでは、失礼します」

今日の部活動、僅か10分足らずで終了。

…時間、めちゃくちゃ余ってしまったな。

さて、どうしたものか…。