The previous night of the world revolution6~T.D.~

数時間後。

ルーチェス君が、帰宅した。

「ルーチェスく〜ん!おっかえり〜」

「あ、はいただいま」

「よしよし、ルーチェス君は可愛いのう〜。お姉ちゃんがよしよししてあげよう」

「宜しくお願いします」

よしよし。

最近ルーチェス君、毎日忙しそうだから。

毎日頑張って、偉い偉い。

でも今日は、私もちょっと頑張ったのだ。

だから、それを自慢したい。

「ルーチェス君あのね〜、今日ねー」

「はい」

「私、美術館行ってきたんだよ」

「美術館?」

「そう、美術館」

「何処の美術館ですか?」

「なんとねー、聞いて驚け!王立美術館だ!」

「あぁ、あの元宮殿だった美術館ですか」

物凄く反応が薄かった。

「僕も行ったことありますよ。10回くらいは」

「10回!?」

あんな大きな美術館、人生で一度行けたら大満足では?

しかし。

「王族たる者、健全なる美意識を…的な名目で、よく連れて行かれたものです。何なら、何処に何の誰が作った作品なのか、解説も出来ます」

私なんかとは、生まれと育ちが違い過ぎてた。

そうだった…。ルーチェス君、時代が違ってたら、何ならあの王宮に住んでたかもしれない立場だったんだもんね。

今更、王立美術館くらいで驚いたりはしないのだ。

悔しいことに。

「しかし、美術館ですか…。何でまたいきなり?セカイさん、芸術に目覚めたんですか?」

「もー。ルーチェス君が昨日言ったんじゃない。抽象画描いて〜って」

「あ、はい。言いましたね」

「その参考にする為。見て、ポストカードも買ってきたんだよ」

「成程、わざわざ見に行ってきたんですね…。…どうです?進捗状況は。無茶振りで頼んでおいてなんですけど、描けそうですか?」

ここで私が、「やっぱり私には無理そうだよ〜」とか言っちゃったら。

ルーチェス君はきっと、「じゃあ僕がやりますね」って、平気で答えるんだろう。

そして、案の定。

「無理そうだったら、僕が描きますよ。昨日は見切り発車で頼んじゃいましたけど…もとはと言えば、僕の課題ですし」

ほら。言うと思ったよ。

何でもお見通しなんだからね、お姉ちゃんは。

しかし、今回私は、そんな弱音は吐かないのだ。