The previous night of the world revolution6~T.D.~

「…」

ロビーにいた人が、びっくりして私の方を見る。

「…ごめんなさい」

とっても恥ずかしいです。

何なら、受付のお姉さんも、ちょっと恥ずかしそうだった。

そ、それにしても…三日?

おっきい建物だなぁと思ってたけど、全部見て回るだけで、そんなに時間がかかるの?

成程、それで近くにホテルがいっぱいあったんだね。

全ての展示品を網羅するには、泊まりで通わなければならないから。  

分かりやすい順路が示されてないのも、それが理由だったんだ。

順路なんて決めてたら、建物の中で日没を迎えてしまうから。

そんなことすら知らずに、私、見切り発車で…。

…本当に恥ずかしいです。

だって仕方ないでしょー。私、こんなところ来たの初めてなんだから。

うぅ…。意地を張らずに、ルーチェス君に聞いてから来るべきだった…。

「その…で、ですから」

お姉さんが、重い口を開いた。

「日帰りのご予定でしたら、何か目的の展示品があるエリアだけ、ご覧になっては如何でしょうか」

エリア別に展示されているのも、そういう理由だったんだ。

うぅ…恥ずかしい。

「宜しければ、学芸員の者をお呼び致しましょうか。館内をご案内させて頂きます」

「え、良いんですか?」

「はい、勿論です」

普通に見て歩けば、三日はかかるほど広い美術館なら。

目的の抽象画エリア(?)に辿り着くまでに、いつまでかかるか分からない。

出来るだけ、早くルーチェス君に絵を描いてあげたいし…。

館内を案内してくれる人がいるなら、それに越したことはない。

けれど…。

「…そういうのって、やっぱり別料金なんですか?」

「え?いえ…無料のサービスとして行わせてもらっていますよ」

「あ…そうなんですか…」

早くも学芸員を呼ぼうと、受付の受話器を持ち上げていたお姉さんが、困惑した様子で答えてくれた。

そうなんだ。無料なんだね。

そんなことも知らなかったなんて、私、田舎者だと思われただろうなぁ。

良いもん。どうせ田舎者だもん。

くすん。