The previous night of the world revolution6~T.D.~

抽象画が分からないなら、分かる人に聞けば良い。

更に、世の中には、百聞は一見にしかずという言葉もある。

なら、分かる人に聞くより、この目で見れば良い。

そんな訳で、私が向かったのは。

「うわー…。でっか…」

私は、思わず感嘆の声をあげてしまった。

私が向かったのは、ルティス帝国王立美術館。

ルティス帝国で、一番大きな美術館である。

その荘厳さたるや、まるで王宮のようだ。

…まぁ、私王宮見たことないんだけど。

ルーチェス君曰く、「大したことないですよ、あんな建物」らしいが。

大したことあるに決まってるでしょ。何言ってるのあの子。

あれで王子様育ちだから、感覚が色々狂ってるのかもしれない。

それはともかく。

「…よし!入るぞ!」

こんな大きな美術館、入るのは初めてだ。

そもそも美術館自体、入ったことがあるのは人生で一度か二度くらい。

確か、小学校の遠足以来。

それだって、地元の…市立の美術館だったし。

言い方は悪いけど、大したものも置いてなかった。

超有名な絵画!…の、オマージュ作品みたいな。

でもここには、本物の超有名な絵画!が置いてあるのだ。

そう考えると、凄いよね。

やっぱり本物を見てみなければ、どんなものか分からない。

ましてや私、描かないといけない訳だから。

単に鑑賞してるだけじゃ駄目なんだよ。

…よし。

心の中で再度決意して、私は王立美術館の入り口に向かった。

…そのとき。

「…?」

ふと、背後に気配を感じた気がした。

反射的に振り返るけど、そこには。

…ただの、私と同じ、美術館を訪ねに来た人がちらほらいるだけ。

誰も、私を気に留める人はいない。

…気のせい、かな。

あんまり意気込んでいたから、ちょっと過敏になってたのかも。

改めて。

私はチケットを買って、美術館の中に入っていった。