The previous night of the world revolution6~T.D.~

とっておきの…デザート?

…何だろう。

「…メイド服姿のセカイさんが、ベッドで奉仕してくれるとかですか?」

最高のデザートですね。

「そっち!?そっちじゃなくて〜。本物のデザートだよ」

「あぁ、本物…食べ物の方ですか」

「そうそう!…え、何でちょっと残念そうなの?何?ルーチェス君、メイド服プレイしたいの?」

いや、別にそんなことは。

…。

…今度ネットショップで、メイド服注文しておこう。

「きっと見たら驚くぞ〜!なんたって、とっておきのデザートだから!」

「はぁ…そうなんですか。どんなデザートなんですか?」

「じゃんっ!これを見よ!」

満面笑みのセカイさんが、僕の前に出してきたのは。

皿の上に乗った、一切れのケーキ。

「どうだ、びっくりし、」

「あ、シェルドニアケーキじゃないですか。珍しいですね。何処で手に入れたんです?」

「えぇぇぇぇ!」



「何ですか、えぇぇって…」

「もっと驚いてよ!こんなグロい色のケーキなんて、ルティス帝国にはないでしょ!」

「でも僕、元王子だったんで。シェルドニアに訪問したとき、食べたことあるんですよ」

「もー!無駄にグルメなんだから!」

そんな怒られても…。僕はどうすれば良かったんだ。

「でもでも!これは知らないだろう、そのケーキに使われてるクリームは、シェルドニアの…」

「カタツムリのペーストですよね。で、上に乗ってる、この一見イチゴのように見える赤い粒、これはシェルドニアセミの幼虫の砂糖漬けらしいですね。シェルドニアでは、ポピュラーなデコレーションケーキみたいですよ」

「…」

「…?どうかしました?セカイさん」

セカイさんは、何故かぷるぷると震え。

そして、僕の身体をポカポカ叩いてきた。

「もー!もー!酷い!この名探偵ルーチェス君!私が説明して、驚かせようと思ってたのに〜っ!」

「あ、そうだったんですか…。済みません、僕博識で」

「ルーチェス君は弟君なんだから、お姉ちゃんより物知りじゃ駄目なの!」

何ですか、その謎ルール。

弟の方が賢くても良いじゃないですか。

「…ちなみにさっき、セカイさんがもーもー言ってて思い出したんですけど」

「?何?」

「このケーキ、スポンジケーキの部分の隠し味、シェルドニアイノシシの唾液なんですよ」

「ふぇぇぇぇぇ!?私だえっ…唾液食べさせられたの!?」

何処の誰にこのケーキをもらい、何処まで説明を受けたのかは知らないが。

スポンジケーキの隠し味までは、知らされていなかったようだ。

「シェルドニアの料理って、大概そんな感じですよ。ミミズのペーストとか、鹿の脳みその燻製とか」

「うわぁぁぁん、知りたくなかったよぉぉぉぉぉ!」

知らないうちに、イノシシの唾液まで食べていたことに今更気づき。

半泣きで悶ているセカイさんを、微笑ましく眺めながら。

僕もまた、カタツムリとカブトムシの幼虫と、イノシシの唾液入りケーキを、美味しく頂いた。

見た目と材料はともかく、味は美味しいから憎めないよな、シェルドニア料理。